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国際貨物の空港ランキング|アジアの空港が上位独占の理由

1.国際貨物の空港ランキング|アジアの空港が上位独占の理由
航空機は乗客だけを輸送しているのではない。貨物輸送も重要な役割である。
国際線貨物量の空港ランキングを示している。
ランキング 空港名 貨物量(トン)
1 香港 3,426,372
2 ソウル仁川 2,258,291
3 東京成田 1,880.94
4 フランクフルトマイン 1,840,181
5 上海浦東 1,794,473
6 シンガポールチャンギ 1,752,121
7 アラブ首長国連邦ドバイ 1,740,857
8 アムステルダムスキポール 1,456,597
9 アメリカマイアミ 1.448.969
10 ロンドンヒースロー 1.350,891
11 台北 1.321.641
12 アメリカアンカレッジ 1.273.528
13 バンコクスワンナプーム 1,044,928
14 ニューヨークジョン.F・ケネディ 948,641
15 アメリカロサンゼルス 827,839
16 アメリカシカゴ 819,828
17 ルクセンブルク 735,658
18 大阪関西国際 660.976
19 北京 566.46
20 マレーシアクアラルンプール 544.678

2. 国際貨物では、1995年に1位であった成田空港は、1996年に香港空港に追い抜かれた。さらに2006年には、国家を挙げてアジアのハブ空港戦略に出た韓国の仁川空港に2位の座を明け渡し、現在の成田空港は3位の位置にある。

ランキングを見れば、アジアの空港が上位にランクインしていることが分かる。旅客数では欧米の空港が上位であったが、国際貨物ではアジアが上位となる。

アジアの空港において国際物流が活発なのは、貿易の自由化が進展してきたことが背景にある。さらに企業は、資材調達から製造、組み立て、販売、経営に及ぶ各種の活動を国内で完結せず、低コスト化と高品質を追求して活動の拠点を海外へ分散する傾向が強まっている。

特に中国が世界の工場として成長するなかで、アジアの国際貨物が増加した。バブル崩壊後、日系企業が生産拠点を次々とアジアへ移し、国内空洞化が懸念されるようになったことは、そうした傾向の現れと言える。それに加え、経済成長が著しいアジアは、巨大な生産地であるとともに巨大な消費地となってきていることも、貨物輸送が増える要因となる。

香港空港は、中国へのハブ空港であるとともに、中国各地への航空物流の基地でもある。言うまでもなく、中国は世界の工場であり、巨大な消費を誇る国でもある。香港空港の国際線貨物量がトップであるのは当然であろう。

2位には、韓国の仁川空港がつけている。仁川空港の国際線貨物量の多さは、自国需要に加えて、中国が近くに控える位置に立地していることが大きい。さらに、充実した施設、低い使用料、型時間運営、そして港湾に近いことも強みとなっている。

これらのことから、中国の経済的な台頭と、それに伴い国家戦略として空港機能を充実させていったことが、国際線貨物量でトップであった成田空港を引きずり下ろした要因だと言えよう。

さらに物流の世界では、空港のみならず港湾においても、日本にとって深刻な事態が生じている。1990年代後半から、EU~アジア~北米間をつなぐ世界の物流の大動脈である国際コンテナ基幹航路では、日本を回避するジャパン・パッシング(素通り)が増えてきているのだ。そうした港湾の競争力の低下に続くかのように、日本の空港もまた、東アジア諸国の空港に追い抜かれつつある。国際航空貨物量の推移を見ると、その状況は明らかである。

中国・東南アジア発の欧米向け貨物の一部が、経由のために成田空港や仁川空港へ流れているものの、成田空港に発着制限があることと仁川空港の積極的なマーケティング戦略によって、相対的に仁川空港への貨物の流入が増えている。日本以外のアジア諸国からの欧米向け貨物は、成田空港が約1割、仁川空港が約3割を占めている。

成田、関西、中部空港における貨物のトランジットの割合は約2割にとどまるのに対し、仁川空港におけるトランジットの割合は約5割という高い水準にある。トランジットとは、国際便から国際便への乗り換えや積み替えを意味する。とはいえ、香港空港や仁川空港が、そのまま国際線貨物量の上位に居続けることができるのかは分からない。近年、中国は広州の白雲に巨大空港が出現した。広州白雲国際空港である。

3.欧州の小国に学ぶ強い空港の作り方
独のフランクフルト、蘭アムステルダムのスキポール、英ロンドンのヒースロー、そしてルクセンブルク空港はEU(欧州連合)における国際貨物取扱高ベスト4の空港だ。このうち上位の3空港は文字どおり欧州を代表する空港であり、誰しも名称を聞いた覚えがあるに違いない。

だが、ランキング17位につけているルクセンブルク空港はどうだろうか。むろん国名はご存じだろう。ルクセンブルクはオランダ、ベルギーと経済同盟を結んだベネルクス三国の一角として知られる。欧州のほぼ中心に位置するEUの原加盟国だ。人口はわずか46万人。国土の面積は、神奈川県と同じくらいしかない小国である。

この国は4億5000万人の欧州消費市場を背景にした貿易立国として、名を馳せてきた。
国民一人あたりのGDP(国内総生産)は、世界トップの豊かさを誇る。
そうした経済発展の原動力となってきたのが、他でもない、EU第五位の貨物量を扱うルクセンブルク空港なのだ。降り立った経験のある方がどれほどいるだろうか、と疑問に思えるほど無名の空港だ。が、そこが名だたる世界の空港と肩を並べているのである。

08年のACI(国際空港評議会)最新統計によれば、ルクセンブルク空港の年間貨物取扱高は、73万トン。その量は世界でも17番目に位置し、18位の関西国際空港の66万トンを上回っている。
ルクセンブルク空港が、これほどまでの規模に発展したのはなぜだろうか。

「ルクセンブルク空港が発展した理由は、乗客向けではなく貨物基地として空港を特化させたからだと思います。ルクセンブルクそのものはマーケットが小さい。乗客にしても、貨物にしても、輸送の目的地にはなり得ません。だからこそ、貨物のハブ空港を目指したのです。

ルクセンブルク経済開発局貿易投資東京事務所のエグゼクティブディレクターが、そう説明する。「そうしてEU向けの世界中の貨物を取り扱ってきました。ナショナルフラッグキャリア「ルックスエアー」グループの貨物航空「カーゴルクス」が、世界中から集まってくるEU向けの貨物をルクセンブルク空港へ空輸し、そこからトラックで各国へ運んでいます。日本ではあまり認知されていませんが、国の政策として、この貨物のハブ空港化を後押ししてきたのです。

たとえば、カーゴルクスがAという国との路線開設を要望しているとする。すると、ルクセンブルク政府が乗り出して相手国と航空交渉をし、路線を結ぶ。そうして国と航空会社が一体となり、路線を開拓してきました。その結果、ルクセンブルク空港は貨物取扱高EUの国際空港に発展してきたのだと思います。
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