目次

ハイテク化により次第に単純化していくコックピット

1.ハイテク化により次第に単純化していくコックピット
飛行機のコックピットは、飛行機の進化をもっとも理解できる場所である。
コックピットというと、数十個のメーターが並ぶイメージを持つ人が多いだろう。飛行機は自動車などとくらべて、高度や武器管制といった操縦するために必要な情報量が多く、時には計器だけを頼りにする計器飛行をすることもある。

ゆえに、飛行機の計器類が多くなるのは当然で、数十個あるすべての計器に意味がある。大型機ともなると、その操作も複雑になり、正副のパイロットの他に、かつてはエンジンや様々な機器を監視する航空機関士も乗りこんでいた。

それでも単座の戦闘機などでは、重要な計器の数というのはそれほど多くなく、一人でも十分に管理できた。しかし、電子化による多機能化が進むと、それも難しくなってきた。最新鋭の戦闘機ともなると、パイロットの仕事量はかなり増大する。この解決方法として生み出されたのが、コックピットのグラス化だ。

グラス化とは、大量にある計器の情報をブラウン管ディスプレイ(CRT、現在では液晶ディスプレイ:LCDも使用されている)に集約して映し出すシステムであり、同時に各種スイッチ類を統合して操作自体をより単純化したもの。

グラスコックピットが装備され始めた80年代には、CRTで得られる情報は、速度、姿勢、機首方位、高度と戦術情報程度であったが、現在では機体のあらゆる情報をモニターしつつ制御し、異常があればパイロットに情報を提示する。

パイロットは機体を管理する多くの仕事から解放され、より快適に、ミスの少ない飛行を実現できるのだ。グラスコックピットは、現在では民間の旅客機にも使用されている。これは、飛行前、飛行中などのチェック項目を飛躍的に少なくし、航空機関士が必要なくなるなど、効率化と安全性に寄与している。

2. グラスコックピットがさらに進化したものが、ヘッドアップ。ディスプレイ(HUD)だ。これは、操縦者の視線と重なって重要な情報が表示される。多くはコックピット前の、大きな透明の光学ガラス素子に情報を投影するもので、これにより計器を見るために視点を切り替える動作が必要なくなる。結果、より迅速な作業が可能になり、致命的なミスや一時的に平衡感覚を失う状態(空間識失調)になりにくい利点がある。

さらにこれを押し進めたのが、ヘッドマウント・ディスプレイ(HMD)である。これは、ヘルメットにHUDを取り付け、従来は前方にしか情報表示ができなかったものを、パイロットの視線に追随して情報取得できるようにしたもの。アメリカ空・海軍・海兵隊が採用しているJHMCS(Joint Helmet Mounted Cueing System、ジエイヘミクス)が知られる。最新鋭のF-35ライトニングⅡでは、グラスコックピットのモニターは1枚の大型のものになり、JHMCSとの組み合わせにより、HUDの必要はない。
この記事を見た人は、一緒にこんな記事も読んでいます!


ページのトップへ戻る