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搭乗クラス別や機種別でみる機内エンタメ事情

1.搭乗クラス別や機種別でみる機内エンタメ事情
国際線の機内サービスの一つに機内エンターテインメント(IFE)がある。最近はエコノミークラスでも多くの場合、個人用モニターが各座席に装備され、映画やビデオ番組、音楽番組、ゲームなどが楽しめるのがスタンダードだ。モニターは大型化が進み、画質もクオリティが上がってきた。タッチパネルの普及や3Dゲームなどの新機能も相次いでお目見えしている。日進月歩のIFE、その最前線はどうなっているのか?


どんどん大型化が進む個人用モニターのサイズ
機内食と並ぶ楽しみといえば、機内エンターテインメント(IFE)だろう。誰にも邪魔されず、ハリウッドの最新作や人気の海外ドラマを鑑賞できるのは、機内ならではのメリットかもしれない。普段は自由な時間のないVIPの中には、「機内は何本も映画を楽しめる貴重な空間」と語る人もいる。

2.画面サイズが23インチの航空会社も
ファーストクラス

ファーストクラスのソロシート化、半個室化が進み、パーソナル空間が拡大したことで、個人用モニターの大型化が加速。ANAの「ANA FIRST SQUARE」(777‐ 300ERσ)新造機)、エミレーツ航空の777シリーズやA380の個室シート、およびシンガポール航空のA380の「スイート」などには、23インチの大型モニターが装備されている。最上位クラスらしい洗練されたデザインの座席空間では、モニターはインテリアの一部でもあるのだ。

シェル型シートの背面に大型モニター搭載
ビジネスクラス

ファーストクラスと同様、 ビジネスクラスでもモニターの大型化が進み、ANAの「ANA BUSINESS STAGGERED」(777‐ 300ERの新造機)C)17インチをはじめ、15インチ程度のワイドモニターを搭載する航空会社も増えつつある。オンデマンド機能もほぼ定番化した。また最新の機材を中心にバックンエル型のンートが増えたことで、従来のアームレスト内蔵タイプが減少。モニターは前席のシートバックに装備されることが多く、使いやすい。

3.エコノミークラス
かつてのエコノミークラスは、個人用モニターのあることが売りになったが、いまでは中長距離路線用の機材ではこれが当たり前のサービスとなった。上級クラスほどではないが、画面サイズも大きくなり、10インチを超えるものも珍しくない。新しい機材では高画質化も確実に進んでいる。加えて、オンデマンド機能もスタンダードのサービスになりつつある。モニターの周辺などにUSBポート等の新機能を搭載するところも増加中だ。写真はANAの新造767‐ 300ERなどに装備されている新しいエコノミークラス。


進化した。JALが747‐400の上級クラスに、世界で初めて液晶モニターを装備したのは1990年のこと。モニターの大きさは5インチで、チャンネル数は6つだったという。それが今では、エコノミークラスでも大型で解像度の高いモニターが装備され、なかには番組の数が1000を超えるエアラインもあるほど。人気のゲームも定番のプログラムだ。多彩なプログラムを用意したIFEは、空の旅の必須サービスとして定着したのである。

最新のIFEの特徴としてまず目立つのは、クラスを問わずモニターの大型化が進んでいることだ。
上級クラスでは特に競争が激しく、ファーストクラスでは23インチのところもある。ビジネスクラスでは10インチ強が一般的で、新しいキャビンでは15インチ強も珍しくない。ANAが欧米路線に順次導入中の新シート「ANA BUSINESS STAGGERED」には17インチのワイドスクリーンが設置される。

一方、エコノミークラスでも、ANAの777 ―300ERの新造機やシンガポール航空のA380など日本線就航機材、およびエティハド航空やエミレーツ航空などの新鋭機には、10インチ強(10.4~10.6インチ)の個人用モニターが標準装備されている。加えて、すべてのクラスでモニターの高画質化が進んでおり、旧式のものと比べるとその解像度は雲泥の差がある。

モニターにタッチパネルを採用するシステムも増えてきた。タッチパネルを使うと直感的な画面操作が可能になり、初めて利用する人も迷うことが少ない。もちろん手元のコントローラーで操作することもできる。JALが最新の767―300ERに導入している最新鋭のIFE「MAGIC‐5(マジック5)」にも、タッチパネル方式が採用されている。

一度では観きれない膨大なプログラム数
プログラムも、以前とは比較できないほど種類が増えてきた。少なくとも一回のフライトですべてのプログラムを視聴しようというのは不可能である。その代表が、機内サービスにおいて世界最高峰との誉れの高いシンガポール航空とエミレーツ航空。両社とも最新のIFEに搭載するプログラムの数は1000種類以上。

例えばシンガポール航空の最新のIFE「Kris World (クリスワールド)」は、映画142本(うち邦画7本程度)、TVプログラム170本以上、CDアルバム748枚(うち日本人アーティストのもの30枚以上)、ラジオ22チャンネル、ゲーム80種類以上など、合計で約1200種類にもおよぶプログラムを用意している(番組数は2011年1月の例)。しかも毎月その一部が入れ替わるため、頻繁に利用する人でも番組に飽きることがない。映画や音楽、ゲームなどに加えて、健康プログラム(例えば機内でできるヨガ番組やヒーリング音楽など)、20か国語以上を網羅する語学学習番組「ベルリッツワールドトラベラー」など、番組のバリエーションも増えている。

今やAVODは当たり前
個人の電子機器を活用する時代へ
新しいシステムで、クラスを問わずほとんど定番となっているのがAVOD (オーディオ・ビデオ・オン・デマンド)。好きな番組を、いつでも好きなときに、好きなところから、好きなだけ楽しめるシステムだ。これがあれば、自宅でDVDを観たりCDを聴いたりする感覚で、機内でも思いのままに番組が視聴できる。

高品質なヘッドホンが増えているのも最近の特徴。エンジン音などの騒音をカットし、臨場感のある音を実現するノイズキャンセリングタイプのヘッドホンが、ファーストやビジネスクラスの標準仕様になりつつある。その先駆けの1社がアメリカン航空で、同社は名門。米国ボーズ社製の高級ヘッドホンを日本路線の全便で用意している。映画や音楽鑑賞にはもちろんのこと、このヘッドホンを装着して仮眠をとると、エンジン音などの騒音を気にせず眠れることもメリットである。

さらに、USB端子やRCA端子(ビデオ入力端子)などをモニターまわりに装備する機材が増加している。手持ちのIPodなどをRCA端子につなぐと、写真や映像などのコンテンツを個人用モニターに映し出すことができる。デジタルカメラやビデオカメラも接続可能。旅先で撮った写真などを帰国前に楽しむことができるのである。またUSB端子はiPodなどの充電にも使える。
ほかにも3Dゲームや、映画やビデオなどを観ながらでも小さなフライトマップが同時に表示できるなど、新しいサービスが次々に登場している。寝る時間を惜しんで楽しみたくなる進化を続けているのが現代のIFEだ。



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