コンテンツ

グランドスタッフは空港でどのような仕事をしているのか紹介

1.グランドスタッフとは
空港で乗客を快く迎え、航空機の出発から到着までをサポートしているグランドスタッフ。その存在の多くは謎に包まれている。どんな人が働き、どんな仕事をしているのか、グランドスタッフのお仕事を紹介する。

「グランドスタッフ」というと、チェックインカウンターで接客している姿が思い浮かぶが、彼らの仕事はそれだけではない。
「グランドスタッフ」とは、空港で「旅客ハンドリング」に携わる人たちのこと。旅客ハンドリングは、旅客が飛行機に搭乗するまでと、到着後のケアに関する業務を指魂搭乗手続きのみならず、乗り継ぎや手荷物に関すること、病気や障害を持つ人がスムーズに飛行機を利用できるように手助けをするなど、さまざまな役割がある。

同じ接客業の客室乗務員と比較すると、「接客」に加え、できるだけ旅客がトラブルなく快適に飛行機を利用できるように手続きをするというデスクワーク的な面も持ち合わせている。その業務をデスクの上ではなく、接客をしながらカウンターやゲートで行っているのだ

カウンター業務
ほとんどの航空会社は、空港に3種類のカウンターを設置している。予約・発券カウンター、チェックインカウンター、多頻度顧客専用カウンターの3つ。これらのカウンターでは、航空券の予約・販売から、搭乗手続きや荷物の受託などを行う。

お手伝いサービス
車椅子の旅客や、子どものひとり旅などをサポートする専用のカウンターもある。スタッフが常駐しており、さまざまな事情を持つ旅客に臨機応変に対応する。

自動チェックイン機の案内
出発ロビーに並ぶチェックイン機。最近では、旅客が自分で自動チェックイン機を使ってチェックインすることも増えている。スピーディに手続きができるので便利ではあるが、旅なれない旅客はつい敬遠しがち。グランドスタッフは自動チェックイン機の前に立ち、操作方法を案内する。

ゲート業務
出発時刻の20~ 40分前に、便の担当者(通常3~ 4名)がスタンバイ。特別なケアが必要な旅客の情報を確認してCA(客室乗務員)に伝達する。搭乗時刻が決定したら、ゲートの担当者が旅客にアナウンス。出発時刻が迫つても搭乗しない旅客がいた場合、ゲート付近を走って捜索することも。

ラウンジ業務
多頻度利用客に対し提供されるのがラウンジサービス。グランドスタッフはドリンクやスナックを提供したり、雑誌や新聞を補充したりする。また、ラウンジ内の旅客の搭乗便を把握し、出発時刻前に声をかける。

集札業務
カウンターで旅客から受け取った航空券の種別、日付や行き先、有効期限を確認する。チェックするスタッフには、チケットに関する詳細な知識が求められる。

コントロール業務
各部署からの連絡が、すべてここに集約される。カウンターやゲートなど、それぞれの場所の状況を把握し、人員配置など指示を出す。モニターや無線を駆使して各部署と連携を取る司令塔的役割。

企画・運営
成田空港のターミナル再編のようなプロジェクトがある場合、旅客ハンドリング会社の中でチームが組まれる場合もある。


航空機誘導
航空機を搭乗橋の位置へ誘導するスペシャリスト
空港に到着した航空機を決められたスポットまで誘導するマーシャリング。日中はうちわのような形状のもの、夜は棒状のライトを使用して誘導する。

貨物
空港から機内へ、また機内から空港へと受託手荷物や航空貨物の積み降ろしを行なうグランドスタッフ。仕分け場に集まった手荷物は、1つ1つ便名をチェックしながらコンテナに積み込まれる。

機内清掃
機内をいつもきれいに美しく
乗客が降機したあとに、機内へと乗り込み清掃をするグランドスタッフ。このほか機内には搭載する備品の配給(ケータリンク)をするスタッフもいる。
トラックのカーゴ部分がリフトアップされる特殊車両に乗り込み機内へ向かうグランドスタッフ

トーイング
後退できない航空機を所定の場所まで移動
スポットに駐機している機材は後退できないため、トーインクトラクタと呼ばれる車両で航空機を押し出し、自走できる位置まで移動させる。その作業を行なうのがグランドスタッフのお仕事だ。


給油
到着後に燃料補給して運航を隠からサポート
航空機の到着後に給油作業をするのもグランドスタッフだ。主翼の下面にある燃料補給/排出口にホースをつなぎ、圧力で燃料を送り込む。羽田空港では地下に埋設された燃料ラインからポンプ車で給油する。


グランドスタッフは「商売道具」とも言うべきマストアイテムをいくつか持っている。
空港を行き来しているグランドスタッフが持っているあんなアイテム。こんなアイテムを紹介しよう。

制限区域内立ち入り許可証
「制限区域」とは、旅客がセキュリティゲートを通って入る搭乗口付近のエリアや、ランプと呼ばれる駐機場周辺のこと。制限区域を職場とし、空港の保安を担うグランドスタッフにとって、胸につけているこの「ランプパス」は何よりも大切なもの。
万が一紛失すれは、不審者に利用される可能性もあることから、全員が細心の注意を払って管理している。クリップやチェーンで2重・3重にも固定している。

アンチョコ
つまり重要な情報のみをまとめた虎の巻。各自が研修のときに配布されたテキストや日々改定される運賃表などをノートにまとめている。いかに短時間(旅客を目前にしているので数秒単位)で必要な情報を調べられるかが勝負なので、インデックスをつけたり色分けしたりと工夫しているのだ。

無線機
ゲート業務のときは、原則全員が持っている。スタッフ同士の連絡や、コントロールオフィスとの連絡に使用する。同じ周波の全員が聞くことができるので、たとえば出発時刻間際に、ゲートから離れた場所で旅客が発見された場合、無線を使って便の担当者に知らせることが出来る。

腕時計&アサイン表
定時運航を守るため、1分1秒を争うグランドスタッフ。腕時計なしては仕事にならない。「時計を家に忘れてしまい、ゲート業務の日だったので不安で空港で買ったことがある」という人も。会社によっては「秒針がついているものを着用すること」と決まっていることも。
当日の担当業務や担当便が詳細に書かれているアサイン表は、間違いのないように1日に何度も確認する。じっと見ていると「今日は同期と食事の時間が同じだ」とうれしいおまけがあることもある。

時刻表
あらゆる情報がつまった時
時刻表は、いわはグランドスタッフの「教科書」。隠れアンチョコとしてももちろん使える。フライトに関する情報、チケットの種類、運賃、取り消し手数料、到着地の交通機関、その他空港サービスなど、旅客に尋ねられたときは素早く該当ベージを示せるのがプロ。

タグ
手荷物預かリカウンターでは、係員が名前と到着地コートが入力されたコードはもちろん、荷物の形状や特性によっていろいろなタグをつけてくれる。壊れやすいものにつけるタグや、優先的にターンテーブルに出てくる荷物(車椅子やベビーカーなど)用のタグ、アッパークラス乗客専用のタグなどがある。



2.グランドスタッフの悩み解決Q&Aコーナー
体力はどの程度必要?
A かなりの体力と自己管理能力が必要
「早朝または深夜までのシフト勤務に加えて、日常業務の中でお客様を探して広い空港の館内を走り回ることもある。かなりの体力が必要な仕事」と現役グランドスタッフたちは口を揃える。

定時に飛行機を離陸させるために、秒刻みで仕事をするグランドスタッフ。ご存じの通り空港は広い。その広い空港を、搭乗ゲートに現れない旅客を捜して走り回ったり、遅れてきた旅客とともに荷物を持って走ったりすることもある。その運動量たるや1日1万歩は当たり前、10km分歩くこともある。しかも、運動靴ではなく、ヒールのある靴を履いて、だ。また、早番の場合、早朝4時起床、6時には空港にショーアップしたり(その場合はタクシーで出社)、遅番では夜12時まで勤務したりと、生活面での自己管理能力も必要だ。

さらに、仕事では常に秒単位の素早さが求められ、内心はどれだけ焦っていても、笑顔を絶やさずに接客しなければならない。スピードとスマイルを両立させるには、やはり体力が必要なのだ。
実際、グランドスタッフたちは体力がある。仕事が終われば、趣味を楽しんだり、同期の仲間で集まって美味しいお店に繰り出したりと、プライベートでもエネルギッシユに活動している。家で閉じこもっているタイプより、疲れは外で発散する人の多い業界なのだ。
グランドスタッフは、仕事でも遊びでも「体力に自信あり」の人にぴったりの職業かもしれない。

女性が結婚しても続けられる?
A 結婚・出産後も働きやすい
将来、結婚しても仕事を続けたい。女性が就活をしていれば当然考えることだ。航空業界は女性が多く活躍する業界なので、結婚、出産しても働き続ける人が少なくない。旅客ハンドリング会社の平均勤続年数は5~ 10年。幅があるのは地域差があるからだ。首都圏は職業選択の幅が広いので平均勤続年数が短く、地方都市になるほど女性が活躍する場が少ないので旅客ハンドリング会社の勤続年数が長くなる傾向にある。
女性の多い職場だけに、旅客ハンドリング会社は働く環境が整っている。もともと女性を戦力としているので、男性が主戦力である一般企業と異なり、キャリアパスが明確だ。各社とも明確な昇進制度があり、いちグランドスタッフからグランドスタッフを束ねるチーフ役へ成長していく人も多い。これが「働きやすさ」につながっているのかもしれない。

実際、一般に働く人の意識が変わり、結婚や出産など以前なら退職していたステップを経ても、育児体暇を取得したのちに職場復帰するケースが年々増えているし、旅客ハンドリング会社も、社員の要望に積極的に応えようとしている。「頑張ってスキルを身につけた人にはぜひ長く務めてもらいたい」というのが会社側の本音なのだ。ちなみに、同業に転職する場合、経験者は即戦力になるので優遇される。
あなた自身のキャリアプランを考えた上で、グランドスタッフに挑戦しよう。


この記事を見た人は、一緒にこんな記事も読んでいます!