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空港で働く公務員のいろいろな仕事を徹底解説

空港で働く公務員
空港で働く公務員
1.税関
税関は、貿易が正しく行なわれるように輸入品や輸出品の審査をするところ。海外旅行者の手荷物も「輸入品」「輸出品」として位置づけられているため、審査を受けなければならない。出国時には、海外へ持ち出す装飾品や100万円以上の現金などを申告し、渡航先から帰国する。「秩序ある貿易の促進」という役割を担う。加えて、麻薬や拳銃などの不法所持品、ブランド商品のコピー品などを摘発することも重要な任務だ。貨物の通関業務を行う場合もある。グローバル化が進み、人やモノが国境を越えて活発に移動する現在、その業務の重要性はいっそう高くなっている。国家公務員試験合格者を対象に採用試験が行われる。窓口は、I種職が財務省関税局、Ⅱ ・Ⅲ種職が全国に9カ所ある各税関となる。

海外からの入口「税関」で、不正な貿易を阻止する税関の法律を守った貿易が行なわれるよう監視すること、そのために全国各地の港や空港で、輸出品や輸入品を審査し、麻薬やけん銃が入ってくるのを防いだり、関税や消賞税を徴収したりしているのだ。

海外旅行からの荷物やお土産も輸入品、輸出品として取り扱われているので、海外旅行から帰ってきたときには空港の税関でチェックを受けるのだ。

これを旅具通関と呼ぶ。旅具通関では、麻薬やけん銃のほか、偽ブランド品の摘発、ワシントン条約に定められている、絶滅寸前の動植物などが国内に持ち込まれないように取締りを行っている。
税関は空港のほか、港湾にも設置されている 配属次第では、必ずしも空港に勤務できるわけではないということも、頭に入れておこう
→詳しくは国家公務員の税関業務とは


2.入国審査官
パスポートに出入国のスタンプを押してくれるこのゲートは、いうなれば国の出入口。これより先は、もう日本ではない。法務省が管轄し、配置された入国審査官がここでパスポートやピザが有効かどうかを審査する。 旅行者の渡航書類のチェックだけではない。彼らはより重要な役割も担っている。 そのひとつが、外国からの不法入国者の阻止だ。海外からの入国者のなかには、観光と偽って不法就労しようとしている外国人や、密輸を企てている人がいるかもしれない。入国審査官はパスポートやピザを見ながら、滞在が不法でないかどうかをチェックするため渡航者に質問する。


ビザ、入国カードを調べ、日本に出入国させても問題はないかどうか審査するのが入国審査官だ。
さらりとパスポートを眺めているだけのような印象を受けることもある人国審査官だが、犯罪を摘発することもしばしばある。たとえば、パスポートには出人田をした証のスタンプが押されている。あまりに頻繁に海外に出入りしている人に細かく質問し、麻薬の運び屋を検挙した例もあった。
その他、国際指名手配されている人が入国しようとした場合に、発見、阻止するのも入国審査官の仕事である。

犯罪摘発の役割にばかりスポットが当てられがちだが、入国審査官は外国人が日本で最初に出会う日本人。相手に不快感を与えないマナーや、誰とでも意思疎通できる高度な語学力は必須、その他の外国語に堪能だとなお良い。

入国審査官は法務省の入国管理局に所属している。まず人国管理局に入りし、財務官として数年の経験を積んだ後に、適性があると分析された人のみがこの仕事につくことができる。転勤や配置換えももちろんあり、必ずしも空港に勤務できると決まっているわけではない。
→詳しくは国家公務員の入国審査官業務とは


3.航空管制官
空港で働く公務員の代表のひとつともいえるのが航空管制官。空港の管制塔から目視およびレーダーで航空機の動きを監視、離着陸の際や飛行中に適切な指示を出し、空の交通整理を行う。航空管制官の採用試験、または航空保安大学校生の受験が前提となる。航空保安に関わる職種には、ほかに「航空管制情報官」「航空管制通信官」「航空管制運航情報官」「航空管制技術官」などがある。

飛行機が安全に飛行するために指示を出す「空の交通整理人」
飛行機の離着陸、飛行経路など、飛行機に対して指示を出すのが管制官だ。たとえば、飛行機と飛行機があまりにも近い間隔で飛ぶと非常に危ない、衝突する可能性だってある。そうならないために管制官が安全な間隔を設定し、飛行機を誘導しているのだ。

なお、管制官は航空保安職の中のひとつの職種。航空保安職には航空管制官、航空管制情報官など4職ある。一般に管制官と呼ばれているのは「航空管制官」だ、航空保安職は国家公務員。給料や身分が安定していて、男女差別なく働けるのも魅力的。

どうすればなれる?
[航空保安大学校] とは、航空管制官を育成するために国が設置した学校。防衛大学校や気象大学校と同じように、入学=就職なので、授業料は一切無料。学生は、給料をもらいながら勉強することができる。航空保安大学校での授業は、研修など。
→詳しくは国家公務員の航空管制官とは


4.入国警備官
入国警備官は、入国審査官が不審人物と判定した人を別室へ誘導、事情聴取を行い、入国の可否を調べるのが主な仕事。警察官と同様に公安職としての役目を担っている。日本に在留する外国人の管理も行う。不法残留している外国人が約19万人にも達するなか、ますます重要性が高まっている業務である。
国家公務員試験の受験は不要。採用には、入国警備官試験に合格することが前提となる。

不法入国者を取り調べ、外国人による犯罪を未然に防ぐ。
入国審査官が不審と分祈した人に事情聴取をして、入国させても問題がないかどうか調べるのが入国警備官。ただし、業務は空港だけではなく、強制退去、摘発、警備、送還など様々である。
→詳しくは国家公務員の入国警備官とは


5.検疫担当官
検疫担当官は、害虫におかされた食品や伝染病に汚染された食品、あるいは病気にかかっている動物などが、日本国内に持ち込まれるのを未然に防ぐのが仕事。身分は厚生労働省の職員である。このほか、全国主要空港における輸入食品の安全監視および指導を行う「食品衛生監視員」も国家公務員だ。

汚染された食品等の輸入を取締り、国内の衛生状態を保つ
海外旅行から帰ってきたとき、「体調の悪い人、下痢などをした人は申し出てください」と、紙をもらったことがあるはずだ。これは、赤痢やコレラなどの伝染病にかかっている人を隔離・治療し、病気を国内に持ち込ませないように行われるもの。配置された検疫官は、質問票を回収後、口頭での質問で感染症の有無をチェック。 検疫所の健康相談室には医師が常駐し、心配ごとがあれば入国前に相談に乗ってくれる。また、最近人気の紅イモは、加工していない生のままでは本土に持ち込むことはできない。これは紅イモが収穫できる土地に特有の害虫が、本土に持ち込まれるのを防ぐためである。

「検疫」とはこのように伝染病や害虫に犯された製品、病気にかかった動物や植物を日本に入る間際でチェックし、国内に病気が持ちこまれるのを防ぐことである。現在、植物と動物は農林水産省が、人間の伝染病と食品は厚生労働省が検疫を担当している。

なかでもとくに念入りに行われるのが、動物の検疫である 動物の伝染病には潜伏期間が長いものも少なくないので、一定期間検疫所で飼い、その間に発病しないかどうか観察する。期間中は検疫所で生活をすることになる。地道な姿勢が必要とされる職種である。
→詳しくは国家公務員の検疫官・食品衛生監視員とは


6.国土交通省航空局
空港整備と航空交通の安全確保を通し、航空運送を発展させる。
交通省航空局には、以上3つの役割がある。「空港の整備」「航空交通の安全確保」「航空運送業の発展」である

航空交通の安全確保のためには、航空機の検査を実施したり、各航空会社の運航・整備体制をチェックしたりしている。航空大学校でのパイロットの養成、航空保安大学校での管制官の養成も航空局が行う。
その他、路線開設の許可、運賃の認可や、経営基盤強化のために必要な財政投融資、税制等による助成の業務を行う。
→詳しくは国家公務員の航空局・地方整備職員とは


7.気象庁職員
空港に設置された気象台で気象観測を行う
飛行機の運航には気象が大きく関わっている。天候観測のデータをもとに、場合によっては欠航や遅延が決定される。空港や航空経路の気象を観測し、情報収集するために、気象庁は全国の80か所以上の空港に気象観測台を設置している。ここで働いているのが気象観測官だ。
観測業務では、空港の周辺と飛行空域の気象を観測して、航空機の運航に影響を及ぼす可能性がある場合、航空管制官、航空会社の運航管理者、パイロットに通達する。また気象台では、雨の強さや風の変化をレーダーで監視するほか、雷現象や台風も観測している。

国家公務員試験を受験、または気象大学校に入学
気象庁で働くには、①国家公務員試験を受験する、②気象大学校を受験する、のふたつの方法がある。観測業務を志望する場合は、国家公務員I、II種を受験しよう。Ⅲ種は総務・人事などの業務に携わるからだ。気象大学校は、航空保安大学校などと同様、4年制で、入学=就職となる学校。授業料は無料、かつ給料が支給される。ここで観測、予報、研究など専門的な知識を学び、本庁または全国の気象台などに配属される。


8.航空宇宙技術研究所
航空機に関するすべての技術の発展を目指す、研究者集団。
技術の進歩にしたがって、航空機はどんどん進歩している。そしてよりいっそうの進歩を目指して、航空機の素材の開発から飛行システムの研究など、航空に関するあらゆることを研究しているのがこの航空宇宙技術研究所である。最近では、超速の航空機の研究などを行っている。
研究所ではあるが、とくに大学院を卒業する必要はなく、国家公務員1種試験に合格すれば働くことができる。
実際に勤務している人は、大学で機械工学や情報を勉強した人が多いようだ。


9.ディスパッチャー(運航管理者)
安全を裏で支える役割
ディスパッチャーという職業は、最近若い女性にも人気の職業である。業務の中心は、飛行計画書(フライト・プラン)を策定してパイロットに提示することだ。しかし、そのまま了承されるとは限らない。パイロットの意見によって、必要なら修正を加えていく。もし飛行ルートや高度、気象予測、それに搭載燃料の量などで両者の意見が異なった場合には、より安全サイドの意見を採用するのがルールだ。そうして合意がなされると、最終的にディスパッチャーと機長のサイン(署名)を飛行計画書に併記してフライトが「GO」となる。

ディスパッチャーは日本語では運航管理者といわれ、国家資格を要する専門性の高い仕事で、一般に航空会社に入社して数年間の業務を経て、上司からOKが出ると国家試験を受けさせてもらえる。そして、それに合格すると晴れて正式に運航管理者として飛行計画書に署名できる地位になる。この職種は、航空機の運航全般を理解できなければ務まらない専門性が魅力となって、現在では女性の航空ファンをもひきつけているようだ。

実際、JALでも現場の多くを若い女性が占めるようになった。航空界で女性から人気といえば、以前はCAやグランドスタッフであったが、今日ではこのディスパッチャーを目指してグループ会社に入社してくる新人女性が実に多いのだ。国家試験を目標に生き生きと働く若き運航支援者(資格がまだない)達の姿には、明日への期待が膨らむばかりだ。


10.その他の仕事
ケイタリング
機内食の調理を行う「ケイタリング会社」も航空業界には不可欠のビジネス。一部を除いて航空会社は自社では機内食を調理せず、ケイタリング会社からこれを調達している。ケイタリング会社のスタッフは航空会社のサービス担当者とともに新しいメニューを考案し、その調理、機内への搭載までを担当する。


航空会社の子会社や関連会社にもさまざまな業種がある。国内大手二社もそれぞれ多様な航空関連会社を持つ。旅行会社、地上サービス、空港設備、貨物サービスなど、その分野は多岐にわたる。
このほか航空産業に関わる仕事には、航空機や部品のメーカー、航空関連の商品を販売する商社、空港を運営する法人(空港公団)、あるいはヘリコプターやビジネスジェットなどの不定期輸送事業など、まだまだ数多くの業務がある。

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