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エアバスとボーイングでは飛行機による旅客輸送のコンセプトが違う

1.空の旅の形はさまざまに変化していく
現在、航空旅客輸送は変革期にあると言っていいだろう。 飛行機による旅客輸送が本格的に始まった戦後から60年代あたりにかけては、飛行機での移動はいわばファースト・クラス的な旅であった。航空会社の多くは国策的な、国を代表するいわゆるフラッグ・キャリアが多く、航空料金も業界団体であるIATA(国際航空運送協会)によって、カルテル的に高く維持されていた。

それが、ボーイング747などの大型機の登場によって次第に崩れ始めたのが70年代後半。団体ツアー用の航空券が個人向けに安く出回り始め、日本でも次第に手軽に国際線の航空券が手に入るようになってきた。

こうした航空業界の流れは、各国政府の規制緩和なども重なり、格安航空会社(LCC =ローコスト・キャリア)を産むことになる。

80年代から90年代にかけてのことである。 日本では、ここ数年話題になるLCCだが、その歴史は20年以上に及び、ヨーロッパやアジアではかなりのシェアを得ている。 こうして航空運輸は、従来にない安価な旅になりつつあり、その需要は今後も増大していくと言われている。

2. しかしLCCは、機体の運用についても切り詰めたコスト削減を行っており、多少の天候不良などでも運行スケジュールに影響を受けかねないという危うさを含んでいる。つまり多少の遅れは問題がない観光や帰省などの用件には適しているものの、定時運行や乗り換えの便などが重要になるビジネス客には不向きであるとも言えるのだ。

また、コストを切り詰めているがゆえ国際情勢に影響されやすく、破綻した格安航空会社も少なくない。来客としては両方を賢く使うべきではあるが、その未来像が同まるまでには、もう少し時間がかかるかもしれない。

こうした旅客機輸送のマーケティングとしては、2種類の形が存在する。ひとつは、point to pointといわれるもの。比較的小型~中型の機体で直接各地の空港間を結ぶものである。

そしてもうひとつの方式はハブ&スポークといわれるもの。これは、ハブとなる大空港間を大型の機体で結び、大空港と地方空港を小型機で結ぶというものだ。

これらの方式には一長一短があり、現在はpoint to pointの方が優勢気味だが、どちらが優れているかは一概にはいえない。飛行機製造会社のマーケティングとしては、ボーイングはpoint to point、エアバスは超巨大旅客機A380を中心としたハブ&スポーク方式を中心に考えているといわれるが、現在のところは、両社とも両方を狙ったマーケティングを展開している。こちらの方の結論が出るのもまだ少し先のことだろう。
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