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プレミアムエコノミーが各社人気で導入しており設備がすごい

1.増加の中途をたどるPY設定エアライン
1990年代初めにヴァージンアトランティック航空が導入したのが、ワンランク上の上級エコノミークラスだ。同社のブランド名である「プレミアムエコノミー」が、今ではこの上級エコノミークラスの通称となった(航空会社ごとにブランド名はある)。

日系では、ANAが2002年に一部の長距離路線から導入を開始。JALも2007年から順次、長距離路線にこのサービスを導入しており、現在はシドニー線やジャカルタ線、バンコク線、デリー線などにも設定がある。日本発着便ではほかに、ヴァージンをはじめブリティッシュ・エアウェイズ、スカンジナビア航空、エールフランス航空、トルコ航空、ニュージーランド航空、カンタス航空などがこのサービスを導入(機材により設定のない場合がある)。またデルタ航空も、2011年夏より国際線のすべての長距離路線を対象に、プレミアムエコノミーにあたる「エコノミーコンフォート」を順次導入予定である。

最大のセールスポイントは、通常のエコノミークラスに比べてシートビッチが広く、シート幅もゆったりしていること。ひと昔前の一般的なビジネスクラスの水準に近いといっていいだろう。加えて、多くの場合、エコノミークラスの前方の、独立したキャビンに設けられることも特徴だ。ビジネスパーソンやワンランク上の空の旅を求めるレジャー客のニーズにかなった、プライベート感のある落ち着いた空間となっている。

ちなみにユナイテッド航空は、シート自体は普通のエコノミークラスと同じだが、足元のスベースが最大5インチ(約12cm)広い「エコノミープラス」席を設定。自社マイレージの上級会員や有料の年間オプションの購入者などは、先着順に無料でそこに座れる。ユナイテッドとのサービス統合を進めているコンチネンタル航空も、2012年から同様のサービスを開始する予定だ。


2.シェル型中心のシートに多彩な機能
新しいプロダクトも次々に登場

エコノミークラスとの最大の違いは、シートビッチやシート幅などが広いこと。国際線のエコノミークラスのシートピッチは31インチ(約79cm)から34インチ(約86cm)が一般的だが、プレミアムエコノミーでは38インチ(約97cm)程度が主流。

さらに座席配列も余裕があり、ボーイング777シリーズでは通常のエコノミークラスが3-3-3(横9席)または343(横10席)の配列であるのに対し、プレミアムエコノミーは2-4-2(横8席)が標準だ。また各座席にはレッグレストやフットレストなどが装備され、機内の居住性が向上。加えて、シェル型のデザインが多いため、前の席が倒れてくるストレスがなく、快適なパーソナル空間が約束される。特に欧米などへのロングフライトでは、エコノミークラスとの違いがよりはっきりと実感できるはずだ。

プレミアムエコノミーを導入する航空会社が増えるにつれ、サービス競争は激化している。トルコ航空が2011年夏スケジュールから成田線に新しく導入した「コンフォートクラス」は、シートビッチが46インチ(約116cm)、シート幅が195インチ(約49cm)。機材は777‐300ERだが、座席配列はビジネスクラスの標準の横2-3-2を採用した。

さらに次世代のンートとして注目されるのが、ニュージーランド航空が777-300ER(日本路線は未就航)に導入を始めた「プレミアム・エコノミー・スペースシート」。777で座席配列は2-2‐2席と、トルコ航空の新プロダクトをさらに上回るゆとりのレイアウトである。窓側の2席は、やや窓向き(外向き)に配置して二人連れの乗客のプライバシーを強化。また中央の2席はそれぞれがやや通路へ向くように配置され、単身の旅行者のプライバシーを保つと同時に、そこをカップルで使用する場合は、逆に、両方のシートを合わせて一つの空間を作ったり、共通のテーブルで一緒に食事ができたりするよう工夫した。



3.多くの場合はエコノミークラスと同じ
飲み物ではシャンパンなどのサービスも

機内食はほとんどの場合、エコノミークラスと同じメニューが提供される。ただ何らかの形で差別化を図るところは少なくなく、例えばヴァージンアトランティック航空はステンレス製のカトラリーと陶器の食器でサービス、JALは間食にカップ麺やアイスクリームなどを追加で用意したりしている。またカンタス航空では、離陸前にウェルカムドリンクとしてシャンパンをサービス。エールフランス航空は、食事の際にカクテル(アルコール入り、アルコール抜きの両方を用意)を作り、クラッカーといっしょに提供している。シャンパンも無料でサービスされる。

もっとも、料理自体はエコノミークラスと同じ内容でも、優先的にサービスされるため、メインディッシュが選べるときは食べたい料理が品切れになることはまずない。

一方、ニユージーランド航空は、ビジネスクラスとほぼ同等のミールサービスを用意(一部の短距離路線を除く)。メインディッシュは3種類から選べ、ニュージーランド産で統一された自慢のワインをはじめ、飲み物もビジネスクラスに準じて提供される。さらにトルコ航空が2011年夏スケジュールより成田~イスタンブール線に導入したプレミアムエコノミー「コンフォートクラス」には、本物のシェフが乗務。

機内の厨房で料理の再加熱や盛り付け、ときには客室でのサービスまで行う(シェフはビジネスクラスと「コンフォートクラス」を担当)。メニューは一部が省略されるものの、ビジネスクラスとほとんど同じコース料理が、白いテーブルクロスと陶磁器でサービスされるのである。



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