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空港で働く国家公務員の検疫官・食品衛生監視員はどんな仕事をしているの?

1.検疫官・食品衛生監視員の仕事とは
検疫官・食品衛生監視員について
国際空港の検疫所で伝染病の検査をする
検疫担当官は、害虫におかされた食品や伝染病に汚染された食品、あるいは病気にかかっている動物などが、日本国内に持ち込まれるのを未然に防ぐのが仕事。身分は厚生労働省の職員である。このほか、全国主要空港における輸入食品の安全監視および指導を行う「食品衛生監視員」も国家公務員だ。

海外旅行から帰国した際に、渡航先や過去3週間の体の症状などを記入する検疫質問票が配られたことがあるだろう。これは伝染病にかかっている人を隔離・治療して、病原菌を国内に持ち込ませないようにするために行っているもの。この質問票を回収し、旅客に質問をして感染症の有無をチェックするのが検疫官だ。国際空港には必ず検疫所がある。検疫官は、渡航者の健康相談だけでなく、航空機の検疫なども行う。

汚染された食品等の輸入を取締り、国内の衛生状態を保つ
海外旅行から帰ってきたとき、「体調の悪い人、下痢などをした人は申し出てください」と、紙をもらったことがあるはずだ。これは、赤痢やコレラなどの伝染病にかかっている人を隔離・治療し、病気を国内に持ち込ませないように行われるもの。また、最近人気の紅イモは、加工していない生のままでは本土に持ち込むことはできない。これは紅イモが収穫できる土地に特有の害虫が、本土に持ち込まれるのを防ぐためである。

「検疫」とはこのように伝染病や害虫に犯された製品、病気にかかった動物や植物を日本に入る間際でチェックし、国内に病気が持ちこまれるのを防ぐことである。現在、植物と動物は農林水産省が、人間の伝染病と食品は厚生労働省が検疫を担当している。

なかでもとくに念入りに行われるのが、動物の検疫である 動物の伝染病には潜伏期間が長いものも少なくないので、一定期間検疫所で飼い、その間に発病しないかどうか観察する。期間中は検疫所で生活をすることになる。地道な姿勢が必要とされる職種である。

食品衛生監視員は、旅客が海外から持ち込んだ食品や貨物に、衛生上の問題がないかを検査する職員。食品に病原菌や放射能がついていないかを調べ、国内に感染症が侵入するのを防いでいる。

公務員試験や専門試験を受験
医師や獣医も採用

検疫官、食品衛生監視員ともに、厚生労働省管轄下の検疫所に勤務する。検疫所は全国の港湾や空港にあり、国内の空港では、成田と関西の2か所。異動は全国規模なので、必ずしも空港に勤務できるとは限らない。

検疫所には、医師や獣医などの有資格者やある分野の専門家などの「技官」と、事務職に携わる職員がいる。国家公務員試験の合格者は後者だ。食品衛生監視員は、医師や薬剤師などの免許を持つ人や大学で医学、薬学、畜産学などの専門教育を受けた人でかつ国家公務員II種の合格者、あるいは随時実施される厚生労働省の食品衛生監視員採用試験の合格者から採用される。
なお、植物・動物を検疫対象とする「植物防疫官」「家畜防疫官」もあり、これらは農林水産省の管轄だ。

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