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フライト・シミュレータで実機のように事故を再現して訓練可能

1.フライト・シミュレータ(模擬飛行訓練装置)
航空機の飛行に伴う三次元の運動を、地上でそっくり模擬再現して操縦訓練を実施できる装置が、フライト・シミュレータだ。日本語では模擬飛行訓練装置というが、操縦訓練や技量保持だけではなく、研究開発にもフライト・シミュレータは使用されている。

また航空機だけではなくスペースシャトルなど宇宙船・宇宙機でも、乗員訓練にフライト・シミュレータは活用されている。

訓練用のフライト・シミュレータは、実際の機体とまったく同じに作られたコクピットと、モーション・システムを備えており、実際の飛行とそっくりの状況を体験することができる。

飛行状況に伴う前後、左右、上下、ピッチ、ロール、ヨーといった機体の動き、エンジン音などを人工的に作り出し、飛行中にコクピット・クルー(運航乗員)が感じるそのままを再現して、実体験させることができるシステムだ。

2. さらに実機の訓練では体験できない、火災やシステムの故障、ニアミスなど緊急事態の訓練も可能になっている。コンピュータやビジュアル・システムの発達によって、機体の動きだけではなく、有視界飛行や地上走行中の外界の様子もリアルに再現できるため、フライト・シミュレータによって訓練の効率と精度が大幅に向上している。

実機を使った訓練では、誤操作などによる人員・機体の損失の心配があるし、天候などの理由から訓練に限界もある。しかしフライト・シミュレータでは、ぎりぎりの限界まで(墜落まで)体験できるし、24時間いつでも訓練できるメリットがある。

実機を使う訓練の10分の1の経費で済むし、訓練時間も節約できる。最近ではコクピット・クルーの訓練・審査に占める、フライト・シミュレータの比率は大幅に増大している。

将来は実機の訓練なしで、フライト・シミュレータのみの操縦訓練だけで、パイロットを養成できるという極論さえあるほどだ。

これだけフライト・シミュレータの比重が増した背景には、ビジュアル・システムの飛躍的発展がある。これは航空機の姿勢や位置に応じて、窓外に現実そのままのリアルな風景を映しだすシステムだが、かつては離着陸時に撮影した風景を窓外に投影したり、空港周辺のミニチュア・セットを撮影して再現するといった手法が取られていた。

しかしこれでは各種の気象条件や、朝・昼・夕方・夜の微妙な光の変化などまでを再現するのは無理だった。しかし現在ではコンピュータ・グラフィックスによるリアルなイメージによって、地形、建物、灯火、他の航空機、気象条件、時間的条件、地上の車両までを、現実そのままに窓外に再現できるようになっている。しかも操作に対応して画像が正確にシンクロするから、パイロットは文字通りの飛行を模擬体験できる

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