目次

混雑空港の問題と発着枠ルールがカギを握っている

1.混雑空港の問題
同一都市圏における複数空港とベリメータールール
日本においても東京、大阪、名古屋、札幌など同一都市圏内の複数の空港で定期航空路線が運航されているが、欧米ではかねてから同一都市圏内の複数空港のあり方やその役割分担が議論されてきた。

一般的には、まず都心に近いほうに現空港があり航空需要の増加による混雑拡大により、新空港を現空港よりも都心から遠くに建設する形になる。両方の空港を併用する場合は、両空港までのアクセス時間を勘案する中で、遠方の新空港には遠距離の路線が移る形が多い。

このとき
①都心から近い空港を国内線全般、遠い空港を国際線全般とするケース(東京:羽田と成田、ソウル・金浦と仁川、上海:虹橋と浦東など)
②路線距離を基準とするベリメーターを設定して路線を分離するケース(ニューヨーク:ラガーデイア空港、ワシントン・レーガン・ナショナル空港、東京:羽田空港など)がある。

たとえば、ニューヨークには都心から15kmの距離にラガーデイア空港、25kmにニューアーク空港、24kmにジョン・F.ケネデイ(JFK)空港があり、都心に一番近いラガーデイア空港は1500マイル(約2400km) 以内の国内線と1500マイル以内でカナダのように事前入国手続きをする一部国際線を運航しているという(例外としてベリメーター規制前から就航していたデンバ一線(1609マイル〉などの運航も認められている)。

ワシントンのレーガン・ナショナル空港でも同様に1250マイル(約2000km)以内の国内線、国際線が運航されているとのことだが、一部の長距離路線も例外として運航を認められている。

羽田空港については、いったん成田空港に移転した国際線を、再度移転させるというあまり例のないケースであり、国交省は当初羽田からの国内線の最長距離である石垣空港(1947km) を1つの目安として国際線を選定するとしている神奈川県、横浜市などは羽田空港の国際競争力強化のため、再拡張後は北京や台北、香港はもちろんのこと、6000km圏であるASEAN諸国も含む東アジアの主要都市をカバーする必要があることを意見表明している。

関西については3空港が並存しており、関西空港は24時間供用の国際拠点空港、伊丹空港は国内線の基幹空港(発着回数370回/日、うちジェット枠200回)。神戸空港は150万都市神戸およびその周辺の国内航空需要に対応する地方空港(発着回数60回/日)として位置づけられている。

関西空港がある大阪南部より、伊丹空港がある大阪北部の人口や航空の需要が多いため、伊丹空港の航空需要がきわめて高い状況にはあるが、国交省は関西3空港を関西圏の全体最適の観点から運用を図る方針としている。

2.混雑空港と発着枠ルール 航空は公共財である空港を使ってサービスを提供しているが、いったん配分した発着枠は航空会社からは既得権益化されるため、混雑空港においては一定の条件で既存の発着枠の回収・再配分を行わないと新規航空会社が参入しにくく、競争促進が起こりづらい

一般的な発着枠の配分ルールは、①評価方式(航空会社の総合評価・評価の客観性と透明性が必要)、②競争入札(オークション・入札額の上昇と運賃転嫁の可能性、大手会社の寡占の可能性)、③抽選制、④均等割がある。羽田空港では①評価方式を採用している。

国際線では国際航空運送協会(InternationalAir Transport Association,IATA)が半期80%未使用なら回収という国際線発着枠ルールを設定し世界の混雑空港ではこのルールを使用している場合が多い(日本でも成田が使用)。

米国の国内線は発着枠売買ルール(Buy/SellRule) が1986年に開始され、高混雑空港(ニューヨークケネディ、ラガーデイア、ワシントンナショナル、シカゴオヘアの4空港)における発着枠をその当時保有していた航空会社に既得権として配分した上で売買、交換、リースを認めるというもので、併せて使用率制限(当初65%、後に80%未使用は発着枠回収)やエッセンシャル・エア・サービス(生活必需路線)の優先等の配慮が行われた。売買は当初盛んだったが、長期間では結果として大手航空会社の寡占度が高まったという評価がなされている。

日本の国内航空では、需給調整のため各路線の免許を申請認可する形で需給調整されてきたが、2000年に航空法の規制緩和で新規会社参入や競争促進を目的に、会社ごとの許可制となった。 しかし需要の多い空港は発着枠の余裕がないため、羽田、成田、伊丹、関西の4空港が「混雑飛行場」と指定され、飛行場乗り入れは許可制、運航ダイヤは認可制になっている。

またこれらの混雑飛行場の中でも特に混雑の激しい羽田空港では5年に一度評価する方式で発着枠配分を見直すことになっており、2005年2月に1回目の再配分が行われ、大手航空会社から40便を回収し新規航空会社に20便を配分し、大手航空会社に過去5年間の運航実績等を勘案して残りの20便を再配分した。

羽田空港においては昭和40年代から旺盛な航空需要(日本の国内航空需要の6割が羽田路線)に対して発着枠が満杯の状況が続いており、高需要路線への対応を図るため、諸外国に比べB777など大型の航空機の運航が多い。これは年間の利用旅客数で羽田札幌線900万人超、羽田福岡800万人超など世界トップ級の高需要国内路線を抱えているからでもある。

また、寡需要地方路線の発着枠を高需要路線に転用するのを防ぐため、国交省は便数の少ない地方空港から羽田空港へ向かう路線の着陸料減免の拡大、羽田空港発着枠の転用を制限するルール(1便路線の撤退時は発着枠を回収し他会社での運航打診、3便以下路線の減便時には他の3便以下路線にだけ転用)を実施している。

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