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1.往路と復路でフライト時間が違うのはなぜ?
航空業界の雑学や豆知識
時刻表で成田~ロサンゼルス間のフライト時間を見るとあることに気がつく。成田からロサンゼルスへ飛ぶほうが、ロサンゼルスから成田へ飛ぶよりも1時間ほど時間が短いのである。

じつはこれは、偏西風の影響である。飛行機は離着陸時には向かい風を必要とするが、フライト中は、向かい風よりも追い風を受けたときのほうがスピードは上がるのだ。 そのため、同じ航路を往復する飛行機でも、東から西に向かう便より西から東に向かうときのほうが、目的地に早く着く。これは、つねに上空に吹いている偏西風の影響を受けるためである。

偏西風とは、地球が自転していることによって発生している風で、西から東へと強い力で吹きつけている。飛行機ばかりでなく、海を航海する帆船もこの影響を強く受けている。

ジェット・ストリームと呼ばれる偏西風の一種は、対流圏上層または成層圏下層に見られる。中心部では時速200~400キロメートルもの強い西風が吹いており、その高度は1万メートル前後と、ちょうど旅客機の巡航高度なのである。

だから飛行機の航路は、できるだけ偏西風が追い風になるように設定されている。 それでも、希望する飛行高度にほかの飛行機が多かったりすると、風の影響を受けやすい低い高度を飛ばなければならない場合もある。 とくに冬には季節風の影響も加わり、さらに強い風になることがある。

かつて、アメリカから成田に向かった飛行機が、向かい風のために時間がかかりすぎて燃料不足になり、急遽、千歳空港に着陸して燃料補給するというケースがあったほどである。 偏西風が吹くのは、つねに西から東。そのため、成田~シドニー間のような南北を結ぶ路線には影響がなく、往路も復路も速度はほとんど同じである。

2.航空機を操縦しているのは誰か?
航空機を操縦しているのは誰だか知っているだろうか? 「もちろんパイロットに決まっているじゃないか。何を言っているのか」という声が聞こえてきそうだが、実は、操縦という言葉の意味をどう考えるかによって答えは変わってくる。

確かに、搭乗者と航空機の安全に最終的な責任を持ち、航空機の操縦拝を握っているのはパイロットだ。だが航空機の運航を自動車の運転に当てはめて考えると、前方の自動車との車間距離をとったり、安全に車線変更したりという、自動車の運転手が外を見て行うことの多くは、航空管制官がその役割を担っている

ほとんどの人が、航空機という言葉を聞いて思い浮かべるのは、日本航空○○便や全日空□□便という名前のついた定期便だと思う。旅客として定期便に乗っていると、時折、窓からは白い煙のような雲しか見えなくなることがある。その状況でパイロットはどうやって安全に航空機を飛ばしているのかと疑間に思ったことはないだろうか?

航空機に搭載されているレーダーは、前方30度くらいしか映らず、周辺を飛ぶ航空機をすべて把握することはできない。仮に把握できたとしても、パイロットにとって、多数の航空機がそれぞれの目的地に向かって超高速で飛行している空域(空中のエリア)を、他の航空機との安全を確保しながら飛行するのは、高速道路を逆走するようなもので、ほとんど現実的ではない。

定期便の飛行では、他の航空機との安全な間隔の確保は基本的に航空管制官が行っている。このような飛び方を、計器飛行方式と呼ぶ。航空法に定めるIFRの定義をおおまかに噛み砕くと、「あらかじめ決められた経路や航空管制官が指示する経路を、航空管制官の指示する飛行方法に常時従って飛行する方式」となる。

航空管制官は、レーダーなどで常時航空機の位置や状況を把握し、しばしば飛行する方角、スピード、高度などを指示し、パイロットはそれに従って操縦している。定期便が、上空で他の航空機や地上の障害物がまったく見えていない状況でも安全に飛行できるのは、IFRのおかげである。


3.機長の権力は神様レベル?
キャプテンとはコクピット内はもちろんのこと、機内では最高責任者だ。
客室乗務員を含む乗員すべての指揮監督にあたる存在である。副操縦士(コパイロット)に、操縦の技術と知識を指導するのも役目のひとつ
だ。

それが次第に拡大解釈されるようになって、機長は絶対権力を持つ神のような存在であり、飛行中は他の運航乗員は機長の判断や操作に一切口出しできず、旅客機の操縦は実質的に機長1人がするものという固定観念にまで発展してしまった。

実際に日本ではその傾向はあまりうかがえないが、特にアメリカの民間航空界にはこの固定観念が根強いようだ。機長をあたかも神のように崇め畏れる結果、コクピットでは他のクルーは畏縮して何も言えず何もできず、あるいは機長の一言で混乱や動揺を強いられた結果、誤操作や事故につながることもある。

アメリカには「機長恐怖症候群」などという言葉も、航空心理学で使われているようだ。
1994年4月に名古屋空港で起きた中華航空のエアバス機の事故も、ヴォイス・レコーダーの記録を読むかぎりでは、この傾向を如実に表わしているような気がする。そういうコクピットの環境を改善し、コクピット内におけるクルー同士の意志疎通の徹底を図るために考えだされたのが、「コクピット・リソース・マネジメント」だ。CRMと略称で呼ばれている。

コクピットのリソース(資源)とはクルーに他ならない。そこでCRMとはクルー・コンセプトつまり乗員としてのあるべき概念を示すものときれている。旅客機をチームワークで運航する方法、具体的に言うならば、飛行任務、操縦任務をクルー間で分割、分担することだ。それが航空事故原因からヒューマン・ファクター(人的要因)を排除する一助ともなる。

このコンセプトに基づいた訓練方式、コクピット・リソース・マネジメント訓練を開発し導入したのがユナイテッド航空だ。自社事故の苦い経験を踏まえて、この訓練方式をNASA(米航空宇宙局)エームズ・リサーチ・センターと協力して開発したものだ。

ユナイテッドの苦い事故は、1978年に発生した。173便のDC‐8がオレゴン州ポートランド近郊で墜落したのだ。その原因は何と燃料不足によるエンジン停止だった。ガス欠である。着陸装置の不具合に気を取られていた機長が、航空機関士(フライト・エンジニア)からの燃料計の指示がおかしい、燃料が不足しそうだという警告を聞きながらも、適切な措置を取らなかったための墜落事故だった。これを機にユナイテッドが開発、導入したCRM訓練は、事故原因から人的要因を減少させるための重要な試みだが、アメリカの航空界からは抵抗が大きいようだ。

4.莫大な燃料消費
発着容量を拡大するための方策は、航空機の運航効率を損なうこととのバランスになる面もある。たとえば、低高度の発着経路が交差しているような場合に、そのままでは交互にしか運航できないが、片方を低い高度で水平飛行させて、その高度差1000フィートを確保して上を通すというような運航を行えば、同時に飛行させることが可能となる。

このような場合、騒音の問題が発生することも予想されるが、さらに、航空機の運航効率を下げ、燃料費による採算を悪化させて最終的には旅客運賃に影響するし、二酸化炭素を余計に排出するため環境にも優しくない。

細かい数字に見えるかもしれないが、航空機は巨大なので、燃料消費も莫大である。B747は1分間浮いているだけで燃料を100リットルも消費する。100リットルが金銭換算していくらになるのかは、燃料価格や燃料の取引される米ドルについて、航空会社がどのようなヘッジを行っているかにもよるので明確ではないが、ごくごく荒っぽい試算をすると次のようになる。

航空機燃料の指標であるシンガポールタロシンは、原油価格と同様に2008年に大幅に変動したが、1バレル(159リットル) 75ドルくらいと考え、1ドル100円とすると、1リットル約47円である。日本の国内線を飛行する航空機には、1リットル26円の航空機燃料税がかかるので、1リットル73円となり、1分間100リットルならば7300円である。

つまり、2分間も余計に飛行することとなれば、乗客1人分の運賃は、無駄に上空で消費することになる。大きな空港では1日に数百便の航空機が飛行しており、1機あたり数分の違いでも、積み上げれば莫大な量になる。


客船と旅客機は姉妹関係
海と空はもともと深い関係にある。乗り物としてはるかに後輩になる飛行機は、用語やシステムなど何かにつけて先輩の船から拝借している。だから客船と旅客機は姉妹関係にあるのだ。外国では船も飛行機も女性名詞と考えるから、兄弟ではなく姉妹だ。

まずギョーカイでは機体をシップと呼ぶ。船そのものだ。またフリートという用語もよく使うが、これはもともと艦隊・船隊のこと。

空港も空の港(ポート)だから、日本語でも英語でも駅ではなく港なのだ。海から空へそのまま転用したわけだ。
機内にも客船から流用した用語が多い。客室をキャビンと呼ぶが、これはもともとは船室だ。ファースト、ツーリストというクラス分けも、船客のランク付けに由来している。

旅客機のオリジナルは、歴史が浅いビジネスクラスのみ。コクピットは現在では英語の辞書でも、飛行機の操縦室が第一義になっているけれど、古くは闘鶏場に由来し、元は軍艦の最下甲板後部の准士官の居室(戦時には傷病兵用の部屋に用いた)とか、ヨットや小型船の船尾座席(ここで操船する)を意味した。

操縦室はフライト・デッキともいう。このデッキは船の甲板だ。航空母艦では飛行甲板をこう呼ぶ。艦載機が離着艦するところだ。

乗客を意味するパッセンジャーも元来は船客のことだし、乗務員もやはり船からの流用が目立つ。クルーはもともと船の乗組員のことだし、パイロットは水先案内人、あるいは操舵手のことで、これを操縦士に借用した。機長のキャプテンが船長に由来するのは、誰でも想像がつく。

執事から転じて船の船客係のボーイさんを意味していたのがスチュワードで、これを女性形にしたのがスチュワーデスだ。最近の豪華客船では女性の新しい職種もあるようだが、もともと船には女性の旅客係はおらず、旅客機でも初期の旅客係は男性のスチュワードだけだった。

テイクオフ(離陸)は、跳躍の踏み切りに由来する(船は飛ばないからさすがに流用のしようがなかった)が、ランディング(着陸)のほうは実は船からきた用語だ。船員の上陸や荷揚げ作業のこと。上陸場つまり波止場もランディングという。ランディング・カードといえば船員の上陸許可書や、船客の上陸証明書のことだ。

さてコクピットの機長席は必ず左側(ヘリコプタでは通常右側)で、旅客の乗降口も機体の左側にある。これも船の伝統。操舵手は船の左側(左舷)に位置し、船が接岸するのも左側だ。

英語ではそもそも左舷をポート(あるいはポートサイド)と言う。港と同じだ。ちなみに右舷はスターポードと言い、飛行機乗りもこの用語で左右を表現する。

大型旅客機では左右対称の位置に同じサイズの扉があるので、旅客の乗降はどちら側でも可能だ。でも最近のように乗降口にボーディング・ブリッジを取り付け、ターミナルやサテライトと直結するようになると、やはり左舷乗降が大原則となる。ボードは舷側つまり舟くりのことだが、動訶だと乗船の意味になる。従ってボーディング・ブリッジは、乗船用連絡橋が転じて旅客機への搭乗連絡橋を意味するようになったもの。

機長席が左側ということでお気付きだろうが、飛行機は右側通行なのだ。日本の車道とは逆。車の左ハンドルというのも、実は船の伝統に従ったものだったのだ。しかし七つの海を制覇した船乗り王国の英国が、車では左側通行、右ハンドルにしたのはなぜなのだろう。
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