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世界に1万以上ある空港の構成されるエリアは5つに分類される

1.世界には、空港と呼べるものが1万か所以上あり、その規模はさまざまだが、一般的な空港ではそれを構成するエリアは、旅客ターミナルと貨物ターミナル、整備地区、管理地区、そして滑走路と周辺地区の5つに分類される。

まず、「旅客ターミナル」は、旅客が飛行機に乗降するさい、必要な手続きを行なう施設。
搭乗券を発行するチェックインカウンターや、搭乗前に手荷物検査を行なう保安検査施設、搭乗ゲート前で時間待ちをするロビー、預けた荷物の受け取り所、レストラン、免税店などが置かれている。ターミナルビルと滑走路のあいだには、駐機場の並ぶ「エプロン」があり、乗客はポーティングブリッジかタラップを利用して飛行機に乗降する。

また、ターミナルビルの正面には道路と駐車場、バスやタクシーの乗り場などが設けられている。
「貨物ターミナル」は、貨物の積み降ろしを行なう施設。ここには、貨物の荷さばきをする施設や運送業者用の施設、郵便関係の施設などがある。

「整備地区」は、航空機を整備するための施設で、洗機場や整備工場、格納庫などが置かれている。
そのほかにも、燃料、水、食料を補給するための施設が設けられている。

「管理地区」には、空港全体を管理し、飛行機がスムーズかつ安全に離着陸できるように指令する中枢施設が集まっており、管理庁舎や管制塔、レーダー、電源局舎などがある。

「滑走路」と「周辺地区」には、消防施設、気象観測施設、動物検疫所、機内食工場などが置かれていることが多い。

2.旅客ターミナルの設計
空港ターミナルはひとつの街
現在では高速交通機関としての航空機は、海外旅行はもとより国内旅行でも広く利用されるようになった。空港から空港間は航空機、空港からは高速道路や鉄道を利用してさらに交通網が広がっていく。このように空港は異なる交通体系が交わる重要な施設である。

一方航空機が出す騒音は、空港が立地する地域に対して環境上大きな影響をおよぼすことから、空港と周辺地域の共存は大きなテーマとなっている。騒音については航空機そのものや、エンジンの改善、そして運航方式の工夫などの対策が取られてきた。空港自体も緩衝緑地帯の設定や、騒音の激しい地域の防音工事や移転などの対策が取られてきた。

空港ターミナルは乗客にとって航空機との接点になる施設で、チェックインなどの乗降手続き、セキュリティーチェック、出国手続き、税関検査、検疫検査、見送り、出迎え、各種地上交通機関、レストラン、ショッピング、ホテル、銀行、郵便、電話、インターネット施設など、独立した街としての機能が求められる。

ボーディングブリッジの配置法
昔は航空機への乗降は地上からタラップを使用して行なわれていたが、現在では原則としてポーディングブリッジ(乗降橋)が使用されている。ボーディングブリッジをどのように配置するかはターミナル設計上の悩みの種である。

最も単純なのが横方向に広がったターミナルビルの前面に、並列にボーディングブリッジを配置する方式で、成田空港の第二ターミナルの方式がこれに相当する。乗客にとってはわかりやすく、無駄なスペースも発生しないが、ゲートへの移動距離が非常に長くなるという欠点がある。成田でも動く歩道を配置して乗客の負担を軽減しているが、高齢者や子連れの乗客、さらに身体の不自由な乗客への配慮が必要となる。

ターミナルビルからフィンガ一部分をのばし、その周りにボーディングブリッジを配置する方式は、比較的狭いスペースに多数の航空機を集めることができるので乗客の移動距離が少なくて済むという利点がある。成田空港第一ターミナルはこの方式を採用している。

メインターミナルビルの周辺にサブターミナルを置き、そのまわりにボーディングブリッジを配置するのは、パリのシャルル・ドゴール空港で採用されている方式。メインとサブのターミナル間は地下道で連絡している。

3.旅客ターミナルには、いろいろなタイプがある
基本的には、ビルと旅客機の駐機するエプロンをどのように組み合わせるかで、そのタイプが決まってくる。
基本的な形は「フロンタル方式」と呼ばれる。ターミナルビルに向き合って旅客機が並列に駐機するタイプである。このタイプでは、ターミナルビルが横長になり、搭乗ゲートも横一列に並ぶことになる。小規模な空港によく見られる方式で、発着便数の多い空港では、ビルが横に長くなりすぎて、旅客の歩く距離が長くなるという欠点がある。

いっぽう、ターミナルビルから、桟橋のように突き出た施設に駐機するタイプは、「ピア」、または「フィンガー方式」と呼ばれる。ターミナルビルから突き出た施設の両側に搭乗ゲートが並ぶ方式だ。大規模空港に向いており、関西国際空港や中部国際空港(愛称・セントレア)、ロサンゼルス国際空港、オランダのスキポール空港などは、このタイプである。メインターミナルを中心に、その周辺に衛星のようにサブターミナルを配置するタイプは「サテライト方式」といわれる。

航空機は、円形のサブターミナルの周囲に駐機し、旅客は動く歩道などで移動する。アメリカーフロリダ州のタンパ空港やパリのシャルルードーゴール空港、新千歳空港などが、このタイプだ。ターミナルビルから離れたエプロンに駐機するタイプは、「オープンエプロン方式」と呼ばれる。旅客は、ターミナルビルと旅客機のあいだをバスに乗って移動することになる。

珍しいタイプとしては、「モバイルーラウンジ方式」がある。旅客はメインターミナルにドッキングされた車内に集まり、その車両がビルから離れて飛行機まで自走するという方式である。
ワシントンのダレス国際空港、モントリオールーミラベル国際空港、メキシコーシティ国際空港の一部などは、このタイプだ。

それぞれの空港には「発着枠」が設けられている。発着枠は、滑走路の本数や長さ、さらには発着の時間制限などによって決められ、各航空会社に振り分けられている。たとえば、1978年(昭和53)に開港した成田空港は当初、A滑走路のみで開港し、発着枠は年間約20万回だった。いまはB滑走路を使えるようになり、年間の発着回数が25万回に増えている。それによって、アラブ首長国連邦(UAE)やカタールへ直行便が就航し、カルガリー(カナダ)、マカオ(中国)への新規路線も増えた。

以後、発着枠は少しずつ増え、2014年(平成26)度には発着枠を年間30万回に増やし、LCC専用ターミナルも建設される予定になっている。いっぽう、羽田空港は、2010年(平成22)に4本目の滑走路が完成、以後、発着枠は段階的に増やされて、2013年(平成25)度中には年間44万回となる。

大きな空港を建設し、運営するには莫大な費用がかかる。そういう意味でも、空港建設の多くは国家プロジェクトとされ、国がその費用の大半を負担するが、完成後は空港を利用する航空会社や旅行者にも、それなりの負担をしてもらおうということで、「空港使用料」が徴収されている。

その空港使用料には、搭乗する個人が支払う「施設使用料」と、航空会社が支払う「着陸料」がある。
基本的に、いずれもチケット代金に含まれるので、最終的には利用者が負担していることになる。

近年、航空業界では、日本の空港の着陸料の高さが問題になっている。着陸料は、飛行機が着陸するたびに支払うもので、その着陸料の高さから、日本への乗り入れを敬遠する外国の航空会社が現れているからだ。じっさい、韓国の仁川空港と成田や羽田を比較すると、着陸料が6~8倍もちがうケースもある。それでは日本以外の航空会社が、成田より仁川を優先したくなるのも無理はない。

じっさい、アジア各国とアメリカを結ぶ路線には、仁川国際空港や香港国際空港を経由する便が急増している。
着陸料を含め、日本の空港使用料が高いのは、税金ではなく、財政投融資を中心とする借金で空港を建設してきたことが一因となっている。その借金を返済する必要があるため、空港使用料を高めに設定せざるを得ないのである。

また、一部の空港を安くすると、日本の国土が狭いため、航空機がそこへ集中しかねない。そのため、全体のバランスをとる必要があることも、空港の使用料が全体的に高い理由となっている。

おなじように航空機が発着する施設でも、「羽田空港」のように「空港」と呼ばれるところもあれば、「調布飛行場」や「龍ヶ崎飛行場」のように「飛行場」と呼ばれるところもある。両者は、法的にはっきり区別されている。
まず、「飛行場」とは、簡単にいえば、滑走路や管制塔などを備え、飛行機が離着陸する場所のことである。

いっぽう、空港は、飛行場の中でも、民間の航空会社が旅客や貨物の輸送を行なう航空機が離着陸する施設をいう。つまり、規模が大きく、また公共性の高い飛行場を、とくに「空港」と呼んでいるのである。

ただし、大規模で、ふつうなら空港の範ちゅうに入りそうな施設でも、正式には「飛行場」と呼ばれるものもある。もちろん例外もある。たとえば、丘珠空港(北海道)や三沢空港(青森県)、小松空港(石川県)のように、自衛隊や米軍と共用する空港は「共用飛行場」と呼ばれ、通称とはちがう正式名称を持っている。丘珠空港の正式名称は「札幌飛行場」、三沢空港は「三沢飛行場」、小松空港は「小松飛行場」である。


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