目次

旅客機のモデルで基本型から開発した派生型の種類とは

1.旅客機の派生型とは基本型をどう変えた
旅客機には同一機種のなかで「基本型」といわれるモデルと「派生型」といわれるモデルがある。ボーイング787を例に説明しよう。

派生型は、最初につくった基本型をベースに新たな需要に対応するためボディのサイズ(長さ)を延長したり、新型エンジンに替えて航続距離を延ばしたりしたタイプ。787は、当初から3つのモデルを開発することが決められていた。その基本(標準型)となるのが、2011年9月にANAに初号機が引き渡された787-8だ。

そして2014年7月からは、ボディ延長型の787-9の納入もはじまった。-9は基本型の8のボディを6.1m延長。こちらはニュージーランド航空がローンチカスタマーとなった。ボディを拡張する場合、重心位置を変えないよう改良することが必要で、-9では主翼の前方と後方で3.05mずつ延ばしている。見た目にも精惇さが増した。

開発計画では当初、標準タイプの-8と同じ長さのボディを使用して短・中距離路線に特化して運航するモデルとして787-3も構想されていた。-3は設置する座席数を290~330席(2クラス制)に想定。航続距離は5650kmと大幅に短く設定した。

ところがこの3つめのモデルの-3は、当初からあまり大きな市場は見こまれていなかった。同程度の航続距離性能を持つ機種が投入される路線は従来、150席クラスの単通路ナローボディ機で運航するエアラインが多く、旅客ニーズがそれより高ければ運航便数を増やして対応するというのが一般的だからだ。

日本は例外で、大きな空港には発着枠を増やす余裕がない。そのため運航便数を増やすことは困難で、一度に多くの乗客を運ぶ必要がある。787-3はこうした事情をかかえるエアライン向けのモデルで、じっさいにオーダーしたのは日本のANAとJALの2社だけだった。しかし両社ともその後、標準型の-8にオーダーを変更。2018年1月現在での-3の受注はなく、開発も中断されている状況だ。

そのいっぽうで新たに開発計画が浮上したのが、派生型の-9のボディをさらに拡大した787-10というモデル。-10は-9と比べて全長は5.5m長い。 最終組立とテスト飛行は2017年のはじめに実施され、初号機の引き渡しは2018年を予定している。日本では、ANAがすでに3機を正式発注した。ANAはこれにより、787ファミリー全3機種を運航するアジア初のエアラインになる。 就航がいまから楽しみだ。


2.これまで派生型をもっとも多く生み出した機種
ボーイング737である。 737は初期に誕生した-100を基本に、NG(ネクストジェネレーション)シリーズと呼ばれる-900まで9つのタイプでファミリーを構成している。ボディの長さで比較すると、-100の28.65メートルから-900では42.1mへ、約1.5倍に拡大した。

過去には基本型よりもボディサイズを短縮した派生型もあった。一例が、ジャンボ機ファミリーのなかの747SPというモデルだ。spは「スペシャル・パフォーマンス」の略で、パン・アメリカン航空の「ニューヨーク~東京間をノンストップで飛べるタイプを」との開発依頼に応えるかたちで開発に着手。基本型の-100を短胴化して重量を低減することにより、航続距離の増大を図った。ただし、座席数を減らしたこのモデルは需要が伸びず、計45機で生産を終えている。

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