目次

旅客機の値段の決め方にはエアラインによって違う!その決定方法とは

1.旅客機はいくらくらいする?
旅客機はいくらくらいする?という疑問がある。
旅客機というのは一般の消費財と違って、大量生産されるものじゃない。しかも15年、20年と売り続けて、1000機を超えれば大ベストセラーという世界。一定の販売価格というものが、事実上存在しない世界なのだ。

おまけに、それを使うエアラインごとにエンジン、装備品や客室の内装、座席やギャレー調理室)に至るまで、それぞれに仕様が異なる特注品という性格もあるから1機ずつ値段が違ってくる。旅客機は注文生産品と考えていい。

またエアラインが注文する(発注)ときに引き渡しの時期が明示されるのだけれど、同時期に発注した機体でも引き渡し期日によって値段が変わるということもある。物価値上がり(値下がり)の影響だ。従って同じ機種でもエアラインごとに値段が異なる、あるいは同じエアラインの同じ機種でも、発注と引き渡しの時期によって相当値段が違ってくるのだ。

あるエアラインが初めて導入する機体の場合、乗員の訓練費用とかスペアや付属部品などコミの、付帯条件がついた値段になるのが普通だ。

しかし同機種を買い増す場合は、訓練が不要だったりスペアなどもストック済みなので当然値段は安くなる。また日本では円高がすごい時期もあり、普通ドル建てになっている価格を日本円に換算すると大逆転現象も起きたものだ。

例えば日本航空が1988年にB747-400を15機発注しているが、この時の契約額は20億ドルといわれた。単純計算すると1機1億3300万ドルだ。当時の為替レートは1ドル=135円程度だったから、計2700億円、1機約180億円になる。同じ契約額で1995年5月に購入したと仮定すると、計1700億円、1機約23億円(1ドル=855円換算)ということになる。この差額はどうだ。日本円で考えると、旅客機の値段も為替レートで大きく変わってくることになる。

さらにこの例でいうと、当時B747-400を初めて導入するときの価格は一般的に、1機240~250億円と言われていたから、日本航空値段は相場よりかなり安かったことになる。そんなわけで旅客機の値段を決めるファクターにはいろいろあって、実際には1機ごとにバラバラと考えていいほどだ。

旅客機は「カタログ価格」という定価で公表される。ボーイングとエアバスの競合機種の価格を比べてみると、ボーイングの747-8iが約464億円で、エアバスA380は約524億円。競合機とはいえ、A380のほうがサイズははるかに大きいので、値段の差は当然だろう。そのひと回り小さなタイプでは、777-300ERが約417億円で、競合するA350-1000/ 900は約431億円/約373億円だ。

中型機のカテゴリーに入る787-8の約275億円に対しては、A330-300が約311億円。単通路型のベストセラー機を比較すると、737-800が約118億円で、A320が約119億円。全体にほぼ同 等か、エアバス機のほうがやや高めのようだ。

しかしこれらは、あくまでカタログ価格である。メーカーは開発から製造に至るまでの原価を積み上げて適切な利益が得られるよう販売価格を設定するが、じっさいの取引となると価格も変動する。定価はあってないようなものといえるだろう。ライバル同士の販売競争は激しく、ときには原価を割ってでもエアライン各社に売りこみたいケースも出てくる。

したがって以下にご紹介するのは、2001年末時点で生産中の代表的な旅客機の値段の目安と考えていただきたい。これはガイドラインにすぎないのだ(円価格は1ドル=120円で換算)。
まず4発の大型旅客機から。
2. ボーイング747-400が1億7450万ドル(209億)
貨物型のボーイング747-400Fは1億7700万ドル(212億)
エアバスのA340は-200が1億3720万ドル(164億)
-600で1億6530万ドル(198億)
双発機では大型のB777-200が1億4250万ドル(171億)
-300が1億6750万ドル(201億)
エアバスA330-200が1億1970万ドル(143億)
同じく双発のB767は200ERが9400万ドル(112億)
-400ERになると1億2000万ドル(144億)
B757-200は6950万ドル(83億)
-300が7650万ドル(91億)
エアバスではA300-600Rが9660万ドル(115億)
A310が7790万ドル(93億)
A320で4930万ドル(59億)
A321は5920万ドル(71億)
小型のA319で4330万ドル(51億)
A318で3670万ドル(44億円)
双発小型機のベストセラーB737は、-600が3800万ドル(45億)
‐700が4350万ドル(52億)
‐800は5300万ドル(63億)
B737‐900で5600万ドル(67億)となっている。

3.ワーストセラー機
昔はともかく、現代のジェット旅客機では開発費も莫大な額にのぼるところから、入念なマーケットリサーチを行い、ある程度の受注を得た後に開発・生産決定(これをゴー・アヘッドという)というのが常識になっている。それでも見込み違いはやはり世の常、人の常、ワーストセラー旅客機も存在する。

その代表がSST(超音速旅客機)だ。BAe(フ゛リティッシュ・エアロスペース)とアエロスパシアルが共同で開発、生産したコンコルドと、旧ソ連のツポレフTu144の両機種。英国とフランスが威信をかけて共同開発したコンコルドは、開発に時間と費用がかかりすぎたのが致命的だった。

やっと完成したときには、石油価格の高騰や環境問題に直面し、さらには超音速よりも大量輸送をという社会的ニーズの変化などから、時代遅れの存在となってしまった。

その音速飛行を体験することを多くの人が夢見たが、2000年7月のエールフランス航空の墜落・炎上事故をきっかけに2003年のブリティッシュ・エアウェイズのラストフライトで終罵の時を迎えた。コンコルドはトータルでも計20機しか製造されていない。

そのコンコルドに対抗して旧ソ連が開発したのがTu‐144。デザインが酷似していたので、コンコルドスキーなどと椰楡されたものだ。就航はしたものの技術的トラブルが多く、貨物機に転用されたが結局原型機を含めて13機生産されただけ。コンコルドは懸命に運航を続けているが、Tu‐144はすでに引退している。続くワースト機は、フランスのダッソーブレゲー・メルキュール。

同社はボーイングのベストセラー機737に対抗するため、140席クラスのジェット旅客機を計画し、フランス政府の援助を受けて開発をスタートした。

短距離用ジェットとして71年に登場したが売行きはさっぱりで、原型を含め12機で生産終了。世界で唯一の使用会社エール・アンテール(仏国内線)が、意地で運航していたが結局はエアバス機に交代、引退している。旧西独のVFW614も悲惨だった。主翼の上にエンジンを搭載するというユニークな設計が話題になっただけで、売行きは一向に伸びず、生産を続ければVFW社が倒産するとして、77年に12機で生産中止に追い込まれた。もう世界の空にその機影はない。

4.ベストセラー機
世界のエアラインからもっとも多く採用されているのが、ボーイングでは737シリーズ、エアバスではA320シリーズ。いずれもキャビンに通路が1本しかない「単通路型」の小型機だ。

737はこれまで派生型をもっとも多く生み出してきた機種でもある。1967年に生産を開始した-100/-200の第1世代、1984年から登場する-300/-400/-500の第2世代を経て、90年代に相次いで完成した「NG(ネクストジェネレーション)型」と呼ばれる-600/ 700/ 800/900の第3世代へと進化した。

いっぽうのA320は、それぞれに全長の異なるA318、A319、A320、A321でファミリーを構成する。A318とA319は、基本タイプのA320よりボディを短くした短胴型で、短距離路線などで活躍中だ。またシリーズで最長のA321は、A320よりボディを主翼の前後で6.9メートル延長し、設置できる座席数を増やした。

こうした単通路型の小型機が売れる背景には、大型機での長距離移動に比べ、150~200人を乗せて2~4時間のフライトで移動するという路線が世界には多いという路線需要がある。

欧米や日本を含めたアジアで急成長するLCC(ローコストキャリア)の路線がまさにこれに当てはまり、運航機材は737かA320のどちらかで統一しているLCCが少なくない。

これらベストセラー2機種は、それぞれ「737MAX」と「A320neo」という新型エンジンを搭載して環境性能を高めた新バージョンに進化をとげつつある。neoは「New Engine Option」の略。またMAXの名称には「効率も信頼性も最大、乗客にとっての快適性も最高の旅客機に」という目標が込められた。

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