室内の清掃は時間との戦い
航空会社にとって、機体の外観と機内の清潔さは、乗客に対する会社のイメージを左右する重要なポイントである。機内の清掃は重要な作業であるが、実は航空機の地上滞在時間を左右するキーポイントである。
乗客が降機して次のフライトの準備を行い、乗客が乗ってくるまでの時間、すなわち地上滞在時間は大型機では通常1時間であるが、小型機では1日に何回も飛行するので、30分前後のことが多い。
座席の背ポケット内の掃除や、座席下に掃除機をかけたりすると30分では終わらないことが多い。アメリカのサウスウエスト航空や日本のJALエクスプレス社では、キャビンアテンダントが客室の清掃も行うことにより、地上滞在時間を短くする努力を行なっている。
機械で洗機
自動車と同じで、航空機も雨や埃をかぶると機体外観が薄汚れてくる。自動車であれば割合簡単に洗車することが可能であるが、航空機では洗う面積が巨大であるばかりでなく、垂直尾翼や胴体上下面など、とても洗いにくい箇所がある。
通常は、機体が飛ばない時間に作業員が柄の長いモップと洗剤を使用して手作業で洗うが、日本航空は成田空港に色々な機体を洗うことができる洗機装置を設置した。ちょうど洗車機のように、回転するモップが機体の外形に応じて動くシステムであるが、航空機の場合は、各種アンテナがあるのでそれらを損傷しないようコンピュータにより制御されている。また、機体の外形が3次元で変化するので、モップの動きも複雑になる。
機体を水洗い
日本では敷地の関係で海の近くに飛行場が設置される場合が多いので、航空機は塩気のある風を受けやすい。沖縄の那覇空港などでは夜間、野ざらし駐機をするので、風の強い時には機体が真っ白になるほど波をかぶることもある。
潮風が機体にあたると塩分が表面に残り、機体外板を腐食させる可能性がある。一応ジュラルミンの表面にはアルクラッドという表面処理が施されているが、適切な間隔で水洗いを行わないと、どんどん腐食が進行していく。そのため頻繁に水洗いをしている。海上を低空で飛行することが多い海上自衛隊の対潜哨戒機では、任務飛行が終了すると真水のシャワーを浴びて機体表面の塩分を取り除いている。
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