機内で荷物を無料で預けることができる重さやサイズ、個数は各社で違います。
JALやANAなどは一人あたり20kgまでで、サイズは3辺(縦、横、高さ)の合計が203cm以内、個数は重量・サイズを満たしていれば制限はありません。
搭乗する機体の種類、座席のクラスなどにより変わる場合があります。
LCCは特に制限が厳しくなっているので注意が必要です。
チェックイン時の重量バランスの管理は、旅客機の運航にとってとても大切です。
荷物どころか、人の体重までチェックされるケースもあります。
本来は、乗客、乗員一人一人の体重、手荷物、それにサービス用の搭載物資、貨物等すべて搭載するものの重量を測ったうえで、すべて計算し、許容範囲内であるかどうかを確認しなくてはなりません。
しかし何百人という乗客全ての体重、手荷物を測るのは、大変な時間がかかり、現実的ではありません。
そこで航空会社では、例えば、乗客ひとり65Kg、手荷物10Kgであるなどと仮定して、
前方の席に何人、中央に何人、後方に何人というふうに、概算で計算しています。
通常は仮定した重さより重たい人もいれば軽い人もいますのである程度はバランスが取れていますが、力士のような特別な体格の人が多数搭乗するときなどは、修正を行っています。
小型の飛行機で離陸のときの航空機の総重量が規定の値ぎりぎりのような場合など、乗客一人一人の重量を測ることもあります。
超過で離陸できないことも空港で預ける手荷物は、利用クラス別に重量制限が設けられています。それをオーバーした場合は、エアラインごとに設定されている超過料金を払わなければなりません。
「少しくらいオーバーしても大丈夫だろう」
そう甘く考えている人もいますが、最近はとても厳しくなりました。たかが1キロや2キロと思っても、それが積み重なると旅客機の運航に大きな支障をきたしてしまうからです。
旅客機には乗客のほか、目的地まで飛ぶための燃料や、貨物スペースには大量の貨物が積み込まれます。出発前にそれらをトータルした重量をもとに飛行計画を立てるわけですが、そこに予想以上の重量の手荷物が加わると、計画を変更しなければならない事態が生じます。積んだ貨物の一部を降ろしたり、極端な例では離陸できなくなる可能性だってあります。
そうした不測の事態を回避するための策の一つとしてスタートしたのが、「手荷物の重量制限」でした。払わなくてすむお金は1円でも払いたくない。それが人間の心理なのでしょう。重量オーバーしたぶんに超過料金を課した途端、実際に重量オーバーするケースは激減したといいます。
2.乗客の体重を見た目で予想?
積載重量の管理は、旅客機の運航にとってそれほど大事です。
しかもトータルの重量だけでなく、機体の前後・左右の重量(ランスをうまくとることも安全運航には欠かせません。
左右のバランスが悪ければ飛行中に機体が傾いてしまいますし、前後のバランスが狂えば機首の上下方向の向きが不安定になります。そこでチェックイン時には、乗客の平均的な「みなし体重」をもとに、一人ひとりをいくつかに区分けされた機内の各ブロックに同程度の重量になるよう振り分けていきます。そういえば、前にある
グランドスタッフからこんな話を聞きました。
「お客さまの
搭乗手続きの際に、昔はカウンタースタッフが見た目でこっそりと体重を予想し、そのデータを打ち込んでバランスがよくなるよう座席を割り当てていたそうです。ひと目で体重を言い当てられる目利きの先輩が多かったのでしょうか」
現在の搭乗手続きでは、さすがにそこまではしていません。ですが最近、南太平洋のフィジーを取材で旅したとき、同国の玄関であるビチレブ島のナンディ国際空港からリゾート地のマナ島に向かう乗り継ぎ便の手続きで、こんなことがありました。
前日の夜に成田を発ったエア・パシフィック航空FJ303便は、翌朝にナンデイ国際空港に到着。預けた手荷物をピックアップし、乗り継ぎのために国内線ターミナルに移動しました。マナ島へのフライトで使用されている機材は8人乗りの小型機で、持ち込める荷物は一人15キロまでと制限されています。取材に同行した女性の旅行ライターにとっては、この重量制限がちょっとした問題だったようです。
チェックインの列に並びながら、彼女はなぜかそわそわと落ち着きません。そして自分の順番がきたとき、彼女は私を振り返って言いました。
「少し離れててくださいね。見ちゃだめですよ」
国内線のチェックインでは、荷物だけでなく、乗客一人ひとりも体重計に乗せられるのです。女性でも容赦ありません。そのことを事前に知った彼女は、出発日までダイエットに励んだらしいのですが、きっとうまくいかなかったのでしょう。
メーターをうしろからこっそり覗いてやろうとも思いましたが、本当に怒られそうなので、やめておきました。
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