目次

軍用輸送機は広大な国土を持つアメリカの技術開発が独壇場だった!

1.軍用機から旅客機ヘ
第一次世界大戦の軍用機
1914年に第一次世界大戦がおこり、どうやら実用になるというところまで発 達していた飛行機は、軍用機として偵察や爆撃に使われた。そして飛行機どうしの戦い(空中戦)も始まり、すぐれた運動性能をもつ戦闘機が造られるようになったのである。

はじめはパイロットが拳銃で撃ち合うような戦いであったが、やがて機体に機銃をつけた戦闘機が生まれ、回転するプロペラの間から銃弾を発射できる装置も開発された。さらに、飛行機は宙返りや横転、反転などの曲技飛行をまじえた空中戦ができるようになるまでに進歩した。

1918年に戦争が終わると、各国では大戦中につくった軍用機の処分に困り、 爆撃機のような大型機は胴体を改造して中に座席をつけて輸送機とし、1919年ごろから旅客や郵便物の輸送を始めた

旅客機の登場
しかし、爆撃機を改造したような飛行機では、乗り心地や採算性からも不満足なことが多いので、各国で本格的な輸送機がつくられ始めた。それらのなかで1925年以降の10年間を代表する飛行機が、オランダのフォッカ-F7b/3m(三発機)であり、6-7人乗りの旅客機としてKLMやルフトハンザをはじめ、多 くの航空会社で使われていた。

一方、アメリカは1930年ごろから飛躍的に経済活動が活発化し、交通手段と して航空輸送がさかんになってきた。そこで6-7人乗りの機体より大きく、近代的な旅客用の機体が望まれるようになった。

一番手として登場したボーイング社が開発したB-247型機は、低翼単葉、全金属製の双発機で引き込み脚をもっていた。1933年5月から旅客10人を乗せてニューヨーク~サンフランシスコ間を19時間45分(途中着陸し燃料を補給)で飛行した。飛行機の速度は時速250kmであった。

対抗する航空機メーカーのダグラス杜は、14人乗りのDC-2型機を1934年5月に完成させた。外観はB-247同様、低翼単葉の双発機であるが、時速は270kmと優れ、B-247を圧倒した。ダグラス社は続いてDC-2を改良したDC-3型機を完成させる。これは旅客24-30人乗りで、スピードも時速310kmを達成した傑作機で、民間だけではなく、軍用機としても使われ、1万機以上が生産された。

2.トワーキングホースとして前線を支えた働き者たち
第二次世界大戦/太平洋戦争における軍用輸送機の勢力図は、事実上アメリカの独壇場だった。これは彼の国がその広大な国をネットワークとすべく早い時期から民間航空を発達させ、必然的に高性能な旅客機が開発され、それが後に軍用輸送機に転用されたことが理由である。

とくに1930年代初めに登場したダグラスDC2と、その性能向上型のDC-3は、優れた搭載能力、高い稼働性、運用コストの安さなど、この時代の民間輸送機の決定版というべき存在であり、第二次世界大戦の勃発後にアメリカ陸軍航空隊はすでに就役していた多くの民間DC-3を徴用すると同時に、本格的な軍用輸送機バージョンであるC-47スカイトレインを就役させることとなった。

ちなみにこの傑作輸送機に注目していたのはアメリカ陸軍航空隊にとどまらず、アメリカ海軍航空隊では「R4D」、イギリス空軍では「ダコタ」のネーミングで制式採用となった。なおダコタというニックネームは語感が良かったことから、本来はスカイトレインが愛称のC-47も含めすべてのDC-3系列に共通して使われている。

さらに民間機としてすでに導入していた諸外国にとっても、この輸送機が魅力的だったことは言うまでもなく、日本の海軍航空隊までも、太平洋戦争開戦以前に正式にライセンス生産契約を結んだ上で、エンジン他に独自の改良を加えた零式輸送機を運用した。

この機体はエンジンにオリジナルのライト・サイクロンより強力な金星を採用したことで、その飛行性能は極めて優れており、DC-3系輸送機の中では最も優秀であるとの評価もあった。またソ連空軍は供与されていたC-47の他にライセンス生産機のリスノフLi2を導入し、ソ連ならではの寒冷地に特化した装備で高い信頼性と共に運用された。

ダグラスC-47スカイトレインは極めて有効に活用された一方、前線からはより大量の輸送能力を求められたため、大戦にともない一時開発がストップしていたダグラスDC-4を軍用輸送機装備に改めた四発輸送機が登場することとなった。これがダグラスC-54スカイマスターである。四発機とあって搭載量、スピード、高々度飛行性能などすべてが向上していたC-54は、大戦中期以降にはC_47と併用され、共に傑作機として高い信頼を受けている。

またこの他にもカーチスC-45コマンドといった機体も過酷な輸送任務現場で活躍した。一方、C-46は飛行性能に優れ、C-47ではなかなか困難だったインドからヒマラヤを越えて、中国へと物資を輸送する任務における主力機となった。戦後は日本の航空自衛隊で長く使われたことでもおなじみである。
この他、輸送機として極めて重要な役割を果たした機体としては、 ドイツのユンカースJu52がある。本来は爆撃機として開発されたこの三発機は、第二次世界大戦勃発の時点で旧式だったものの、その信頼性で長きにわたって人員と物資の輸送に重宝された。

さてこの項での1位だが、これはもうダグラスC-47以外にはありえない。軍用輸送機としてはあらゆる時代を通じての歴代ナンバーワンと断言しても過言ではない。2位以下は悩むところではあるが、ここは長年にわたって現役にあったということでユンカースJu52を推したい。そして3位には近代的輸送機の代表でもあるダグラスC-54ということでいかがだろうか。
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