1.エアバスの新鋭機A350XWBはどこが画期的だった?
A350XWBの1号機は2014年にカタール航空に納入され、翌2015年1月よりドーハからフランクフルト(ドイツ)などへの路線で運航を開始した。
同年夏には2社目となるベトナム航空へ、秋には3社目のフィンエアーへ納入されると、その後も多くのエアラインが受領。日本からは2018年1月現在、ホーチミン(ベトナム)やホノルル、香港、フランクフルト、ヘルシンキ(フィンランド)、シンガポールなどへの路線でA350を体験できる。
従来の旅客機に比べて格段に進化したのが環境性能だ。A350はエアバスが世界最大のオール2階建て機A380用に開発した新素材(CFRP=炭素繊維強化プラスチック)を機体構造へ多用したことにより、環境性能が大幅に向上。運航コストを従来比で25%も低減させた、というデータもある。
もちろんこれは、素材を変えただけでは実現できない。新開発のエンジンや、独自の設計手法などトータルテクノロジーの成果だといえる。じっさいに乗ってみると、本当に静かだ。
エンジンにはノイズを抑えたロールスロイス製の「トレントXWB」を採用した。ライバル機であるボーイング787が登場したとき、搭載されたトレント1000を「世界一静かなエンジン」とマスコミは書き立てたが、その実績をベースに改良が加えられたニューエンジンは「静寂性」の面でも勝るとも劣らない。
さらに空力特性を改善させるため、稼働翼(フラップなど)の作動法を見直し、鳥の羽に近い形状を設計に取り入れているのも特徴である。
XWBは「エクストラ・ワイド・ボディ」の略である。同サイズの従来機に比べてボディ幅を拡大し、キャビンの快適性を向上させた。
前述した優れた環境性能とともに、その快適性もA350の最大のセールスポイントである。キャビンに入って最初に感じるのが、機種名にあるとおりのゆったりした空間サイズだ。横幅がとにかく広い。客室の最大幅はボーイング787の5.49mに対し、プラス12.7cmの5.61m。座席配列は導入するエアラインの方針で変わるが、A350のエコノミークラスの標準配列とされる横一列が。3-3-3の9席配置の場合、18インチ(45.7cm)の幅広シートの設置が可能になる。
頭上の手荷物棚も大型化した。キャスター付きのスーツケースが窓側の棚には5つ、中央の棚でもスーツケース3つと中型バッグ2つを縦にして収納できる。全クラスの乗客が大きめの手荷物を持ちこんでも、自席の近くに置けてとても便利になった。
もうひとつ、キャビンの床面はフラットで出っ張りがまったくない。設計に工夫を凝らし、機内配線のすべてを床下に納めてゆとりの空間を完成させている。
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