現役で活躍する最大の旅客機は、総2階建てで「空飛ぶホテル」の異名を持つエアバスA380である。1号機は2007年にシンガポール航空のシンガポール~シドニー線でデビューした。
特徴は、何といっても類いまれなそのスケール。A380が空港の駐機スポットに収まると、近くにいる他の旅客機がどれもまるで小さな子どものように見える。
ボディの長さ(全長)72.3mと、現存する機種では最長であるボーイングの747-8(76.3m)や777-300(73.9m)、同じエアバスのA340-600(75.5m)におよばないが、それでもJR山手線の車両でいうとほぼ4両分に相当する。
圧巻は高さ(全高)と横幅(全幅)だ。地上から垂直尾翼の先までが24.1mあり、これは8階建てのピルの高さをイメージしてもらえればいい。そして横幅-左右の主翼の端から端までが79.8m。主翼の面積は約845平方メートルあり、バスケットボールのコート(約420平方メートル)が左右に1面ずつ取れてしまう計算だ。唯一の総2階建て機なので、メインデッキとアッパーデッキの窓の配列を見れば、誰でもすぐに機種がわかる。
1階と2階を合わせた総床面積は、それまで最大だったジャンボ機(747-400) の1.5倍。ところが設定している標準座席数は747-400の412席に対して525席。つまり座席数では1.27倍しかない。A380はそのぶん、座席以外に使用できるスペースが広く、アイデア次第でこれまでの旅客機とはまったく異なったキャビン(客室)設計やシートの配置が可能になる。
じっさいにA380を導入したエアラインでは、標準座席数525というメーカーの設定に対して500席以下のシート数でキャビンを設計した会社が少なくない。同型機の導入を世界で最初に決めたシンガポール航空やエミレーツ航空は、その余裕あるスペースを活かすことで、まさに「空飛ぶホテル」の呼び名にふさわしい個室型のファーストクラスを機内に完成させた。
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