航空貨物輸送に関わるさまざまなサービスを行う
飛行機が運ぶのは人だけではない。毎日たくさんの「モノ」が航空機によって世界各国に運ばれている。とくに日本一の貿易港である成田空港の貨物取扱量は、世界トップクラス。これら航空機で運ばれる貨物の運送サービスを担当するのが、航空貨物運送サービス会社の仕事だ。
航空機は人ばかりではなく、乗客の荷物や郵便物、そして通称カーゴと呼ばれる航空貨物を運ぶ、人の場合は、自分で航空機へ搭乗することができるが、荷物の場合、機体へ移動する人の手が必要だ。旅客の手荷物を扱う業務や、荷物そのものを扱う業務と、荷物を航空機へ移動したり降ろしたりする業務とがある。このような業務は、関連のグランドハンドリング会社に委託されている。
チェックイン時に収集された荷物は、いったん、ランプ駐機場に面したエリアに集められ、コンテナに積み込まれる。コンテナはさらに航空機に搭載される。目的地に航空機が到着すると国内線ではターンテーブルに運ばれ、そのまま引き取ることができる、しかし、国際線では税関の検疫場にあるターンテーブルへと移動される。
セキュリティを備えた密輸航空防止のためだ。
さて、航空貨物はというと、搭載する貨物は、カーゴエリアに一旦集められる。そこで、貨物の行き先別に仕分けされ、コンテナに積み込まれる。大型貨物は、搭載されその後、燃料搭載時の機体のバランスや、離陸に影響を及ぼすので、重量チェックは大切な仕事である。
そして、トーイングトラクターで機体の側までけん引され、ハイリフトローダーやメインデッキローダーと呼ばれる特殊運搬機で搭載される。搭載時には再度、貨物の目的地が確認される。確実に行わないと、荷物が別の便に乗ってとんでもない目的地へ行く場合がある。
配属される部署によって、担当する業務は異なるが、代表的な業務には航空貨物の輸出や輸入に関わる業務、予約業務、貨物の重量やサイズに応じた搭載計画の作成や実際の搭載作業の管理業務などがある。航空貨物にはスピードを重視されるものが多いので、いずれも迅速さと正確さが求められる。
また日本貨物航空(株)のように、自社で航空機を運航している会社もある。この場合の業務はパイロットや整備士に関しては旅客航空会社と同じだが、もちろん客室乗務員や空港の旅客スタッフはいない。貨物は乗客と違って自ら動くことも希望を語ることもできないので、地上スタッフの心遣いがなおさら重要といえる。
危険物質も扱う貨物部門
次は、貨物部門のスタッフの業務の一部について触れておきたい。それは危険品の輸送に関わる事項である。危険品は放射性物質から、毒物、それに多くの化学物質まで、23項目の品目にものぼる。
かつて、羽田からサンフランシスコに向けて離陸しようとしていた貨物機が、ある貨物スタッフの機転で大事故にならなくて済んだ事例がある。この時、もし上空の高度1万メートルに上ってしまったら、ある化学物質が爆発していたかもしれなかったのである。当時、貨物部門には化学などの知識を持ったスタッフがおらず、教育が不十分の中で起こったものであるが、偶然に応用化学を専攻したスタッフが出社後にそれを知り、パイロットに伝えて、貨物を取り降ろし、適切な処置を施して再度出発したものであった。
処置の正解は、その化学物質については、蓋を密閉してはならず、隙間をつくっておく必要があったということだ。危険品は英語で書かれているが、語尾のスペルが少し異なっているだけで物質が大きく異なることもあるとされている。
この事例は1970年代の前半に起きたものだが、危険品輸送のプロの育成と、パイロットにも危険品リストの公開と教育を会社に要求し、世界に先駆けて体制が整ったという経緯となっている。そして現在では、年に一度の定期訓練の際に、パイロットへの教育が繰り返し行われ、試験までもが実施されている。
ただ、今でも問題となっているのは、放射性物質の取り扱いである。貨物のスタッフは、機材のどの位置にどのような放射性物質が搭載されているかをパイロットに知らせ、それをCAにも伝えることになっているが、仮に事故が起きた場合にどのように対応すればよいかは明らかにされていないままだ。おそらく事故にでもなったら、被ばくして命にかかわることにもなるであろう。恐ろしいことに、この放射性物質は貨物専用機だけでなく旅客便の貨物室にも搭載されているので心配だ。
放射性物質については、福島原発の事故によって被ばくの実態が大きな問題になりながら、未だ不透明な部分が多いだけに、この放射性物質の機内搭載の管理についてはより厳重にするべきであろう。
現行のマニュアルでは、その対処方法については、不測の事態になったら、専門家による処置が可能となるまで近づかないこと、不測の事態になれば会社に連絡すること、手に触れたら中性洗剤または水で洗浄することなどしか書かれていない。
これでは到底被ばく被曝対策と呼べるものではないだろう。
2.貨物カウンター業務
航空貨物の受付や確認業務を行う
旅客にチェックインが必要であるように、貨物にもチェックインが必要。その業務を行うのが、貨物カウンター業務である。最近、海外ばかりでなく国内においても、荷物を空輸する件数が増えてきた。貨物を収集する業者も、以前のように大きな荷物を取り扱う運送会社ばかりでなく、宅配業者も参入してきている。空港に持ち込まれた荷物の重さや中身をチェックし、目的地の便に載せるように手配するのが貨物カウンター業務だ。
最近、海外ばかりでなく国内においても、荷物を空輸する件数が増えてきた。貨物を収集する業者も、以前のように大きな荷物を取り扱う運送会社ばかりでなく、宅配業者も参入してきた。空港に持ち込まれた荷物の重さや中身をチェックし、目的地の便に載せるように手配するのが貨物カウンター業務だ。
グランドハンドリング会社に就職
契約社員が活躍
Qどうすれば貨物カウンタースタッフになれるの?
貨物カウンター業務は、日本の航空会社の場合、系列のグランドハンドリング会社に委託している、外資系航空会社では、やはりグランドハンドリングに委託しているが、乗り入れ便数が少ない航空会社では、航空会社社員を当てていることもある。
情報を入れるには、求人情報誌をまめにチェックすることである。
この職種は、契約社員やアルバイトが実務をおこなっているケースが多く、また女性の配属が多い部署でもある、業務に関しては採用されてからOJTが行われる。
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