日本にしかるべき競争環境を実現するためには、世界的に見ても高い空港使用料や航空機燃料税といった公租公課を引き下げる必要があります。これに足を引っ張られていては、外国の航空会社とまともに競争することができないからです。
公租公課の引き下げに最も有効なのは、空港に関する政策を根本的に見直し、空港の経営を民営化することです。
空港に関わる施設を一括管理する形で民営化すれば、経営責任や各空港の個別の採算性も明確になりますし、より機動的な空港運営が実現できると思われます。
すでにヨーロッパでは空港の民営化は進んでいます。空港への投資が国境を越えて行われていますし、複数の空港の一体的管理も国際的に実施されています。
一方、日本の
航空法は、空港に対する外資の出資を制限しています。これについては、羽田の空港ビルにオーストラリアの投資会社が投資をした際、大きな議論を呼びました。空港は、戦争などが起こった場合、即時に軍事のために使用されなければならないため、常時日本人の経営主体によって運営されているべきだと強く主張されたのです。
しかし、ただ頑なに外資の参入を敵視するのではなく、「何が問題なのか?」
「どのようにすれば軍事上の緊急時に対応できるか?」ということにまで踏み込んだ議論が日本でも必要になってきています。
また、現実に空港を民営化していく際には、暫定的な措置として、「指定管理者制度」のようなシステムを導入していくことも考えられます。
指定管理者制度というのは、施設の運営を外部の業者に委託するシステムで、現在は博物館などで取り入れられている仕組みです。ノウハウのある専門業者に入ってもらうことで、より効率的に施設を運営することを狙いとしています。
すでに名古屋空港(小牧空港)で導入されていますが、他の空港でもこうしたシステムによって運用効率を高めれば、その利益は地元にもさまざまな形で還元されますし、航空会社の負担も減り、その空港が航空会社によって選ばれやすくなるという好循環が形成されることになります。
逆に、経営努力を怠る空港は淘汰される時代が本格的にやってきます。これまでは、航空会社にある程度の余裕があった上、行政の強制力が働いてきたこともあって、どの空港も「安泰」でした。
しかし、国際競争が激化し、航空会社も本格的なリストラを断行しなければならない現状においては、航空機が1便も飛ばない空港が出てくる可能性すらあります。当然ながら、そのような空港は廃港になるしかないでしょう。
手続き上、空港を廃港にするのはそれほど難しいことではありません。
採算が立つ見込みもない空港をいつまでも抱えて赤字を垂れ流し続けるのか、それとも、早めに廃港を決定して新たに転用する活路を見いだすのか、経営難の
地方空港を抱える地方自治体には、まさに今こうした選択が突きつけられているのです。
総体的に見て、日本の地方空港は多くの問題を抱えていると言っていいでしょう。
近年公表されるようになった採算面を見ても、多くの地方空港が赤字を抱えています。とは言いながら、「地域独占」「空港
整備特別会計からの繰り入れ」「半ば義務的な航空会社の乗り入れ」などがあったため、それほどの経営努力がなくてもこれまでは存続してこられたのです。
しかし、今後は特別会計の見直しによって財政的援助は縮小するでしょうし、航空会社のリストラの徹底によって、路線の削減が進むでしょうから、地方空港の経営はさらに厳しくなると予想されます。こうした中、空港の存続のために地道な努力をしている空港の1つに能登空港があります。
全国に先駆けて搭乗率保証制度を考案。導入し、大きな話題を呼びました。また、県の事務所を空港の建物内に移転させ、空港スペースを有効活用しています。このような自助努力が、地方空港には今後ますます重要になることでしょう。さもなくば、廃港もやむなき事態となりかねません。
空の旅の楽しみのひとつが
機内食のサービス、という人はけっこういるだろう。 だが、数年前から国内線では一部を除き機内食が廃止され、代わって人気になってきたのが、「空弁」である。「空弁」は国内の空港で売られている弁当のことで、鉄道の「駅弁」をもじって「空弁」と呼ばれるようになった。
経費削減のため、国内線では機内食が廃止されたこと、
航空券のインターネット予約の普及により空港内で過ごす時間が短くなったため、空港内のレストランで食事をする人が減ったことなどから、空港で弁当を買って機内で食べる人が増えてきたのだ。
近頃では、各地方の名産品をメニューに取り入れ、各空港独自の空弁を販売して評判になっている。1日1000個以上も売り上げる人気商品もある。なかには、飛行機に乗らないのに、わざわざ買いにくる人や、全国の「空弁めぐり」をしている人までいるという。
人気商品を挙げると、まず、中部国際空港の「みそかつサンド」。名古屋名物八丁味噌を使ったカツはボリューム満点。羽田、大阪、関西空港の「みち子がお届けする若狭の浜焼き鯖寿司」は、空弁の元祖といわれる。ほかにも、函館空港の「あわび飯」、富山空港の「特選ますのすし」、鹿児島空港の「黒豚角煮弁当」など、地方色豊かなメニューが勢ぞろいして話題になっている。
これら空弁の人気の秘密は、1時間程度のフライトの間に狭い機内で気軽に食べられるような配慮がなされていることだ。まず、小さめのB5判サイズ以下につくられているのがとても気がきいている。
また、密閉された機内で食べるため、臭いが出ないように工夫されているのもうれしい。600円から1000円以内のものが大半で、価格も手頃である。最近では、デパートでも「空弁大会」などが開かれ、
空港まで行かなくても空弁を味わうことができるようにもなった。 一度は、各空港ご自慢の味を、味わってみたいものだ。
この記事を見た人は、一緒にこんな記事も読んでいます!