目次

日本の1都道府県に2つ以上の空港が必要?ツケは税金で負担

1.日本の1県に2つ以上の空港がある
日本の空港問題がやばい
世界トップクラスの空港数を誇る
航空の歴史は意外に浅い。第二次世界大戦後からスタートしている。日本の場合、1960年代の高度経済成長期から本格的な歩みが始まっており、ある種の国民のロマンを背負い、急激に拡大した産業界といえる。

そんな日本の空港は40年前の69年当時、すでに56に達しているが、そこからさらに空港整備が延々と続いた。バブル期の87年には、国内80空港に到達。失われた十年といわれるバブル崩壊後も、空港だけは建設され続けた。94年には、全国に90の空港網が張り巡らされる。

この間、景気の波が押し寄せては、引いてきた。古くは神武景気のあとのなべ底不況。オリンピック景気が去ると証券不況が襲い、いざなぎ景気や列島改造ブームのあとにはオイルショックがあった。そんな景気循環のなかにあって、道路と鉄道、そして空港の建設はずっと続いた。好景気のときは政府や地方自治体が航空需要を過大に見積もり、不況になると公共事業として新たな空港建設を計画する。こうしてできあがったのが、現在の国内99空港だ。

いまや国内空港の数だけは、世界トップクラスである。国土面積に占める空港数の順で見ると、英国やドイツに次いで第3位。100に迫る日本の空港は、一万平方キロメートルあたり2.6だが、航空先進国の米国ですら2.0にすぎない。いつの間にか、米国を抜き去っているのだ。昨今、急激に航空需要が伸びている中国にいたっては、わずか0.2空港しかなく、日本とは比べものにならない


2.国内空港の種類は用途や規模で分類される
日本の空港には第1種、第2種、第3種という分類の仕方がある。これは1956年に制定された空港整備法で定められた分類方法。この空港整備法にはだれが空港を設置し、だれが管理し、だれがどのくらいの費用を負担するか、などについて定められている。

この空港整備法によると、まず第1種空港とは国際航空路線に必要な空港と定義される。現在東京国際(羽田)、成田国際、大阪国際(伊丹)、関西国際、中部国際の5か所が第1種空港として分類されている。これらの空港は、基本的に国(国土交通省)が設置・管理する。だが例外として成田国際は成田国際空港株式会社、関西国際は関西国際空港株式会社が設置・管理を行なっている。

次に第2種空港とは主要な国内路線に必要な空港。だが近年では、国際定期便が就航する空港も多い。設置・管理は国(国土交通省)か地方自治体による。
第3種空港は国内ローカル線のための空港で、地方自治体が設置・管理する。だが最近では航空輸送の増大で、第2種空港との差がないような立派な空港もある。

また第1種~第3種以外の空港もある。自衛隊や米軍と民間航空が共通の空港設備を使う共用飛行場。航空機の発着はできるが空港整備法で空港として認められていない場外離着陸場。民間企業が設置や管理を行なう非公共用飛行場などだ。だがそれらの空港でも、民間航空会社の定期便が発着する飛行場もある。


ひと口に空港といっても、実は日本の空港にはいくつかの種類があります。以前は第1種空港、第2種空港、第3種空港などと呼んでいたのですが、近年法律が改正され、「拠点空港」「地方管理空港」「その他の空港」「共用空港」の4種に分かれています。

拠点空港はさらに、「会社管理空港」(成田国際空港、中部国際空港、関西国際空港)「国管理空港」「特定地方管理空港」の3つに分かれます。

現在、拠点空港は28、地方管理空港は54、その他の空港は9、共用空港は7あります。2010年3月に開港した最も新しい茨城空港は、共用空港の1つです。つまり、日本には今、99の空港があるのです。ということは、単純に計算すれば、1県に2つ以上の空港があることになります。

もちろん、離島などにある空港を大規模空港と同列に置くことはできませんが、それにしても多すぎるように感じられます。
しかも、その多くは採算がとれておらず、経営が悪化していると言われます。
なぜこのような事態になったのでしょうか?
いったい日本の空港はどのように建設が決定されているのでしょうか?

空港建設には多額のお金がかかります。一方、空港には公共的側面もありますので、公的資金が投入されることになります。ただ、金額の規模が大きいことと、建設期間が長期にわたることから、「5ヵ年計画」といった長期計画を立てて建設を進めていきました(財政赤字が深刻になると、1年あたりの財政負担を減らすために、「7ヵ年計画」に変更されました)。

空港の整備には、「空港整備特別会計」(現在は「社会資本整備事業特別会計空港整備勘定」)が使われます。その主な財源は、航空会社が支払う空港使用料や航空機燃料税です。

すでに述べたとおり、こうした公租公課が航空運賃を釣り上げています。これは利用者負担の原則に基づいたものです。航空機は、当初きわめて裕福な人々のみが利用するものでした。戦後間もないころの東京―米国、東京―札幌路線は、現在の物価に換算すれば、大体のところでそれぞれ1000万円、100万円くらいに相当したそうです。

このように利用者が限定されている状況であれば、「その人たちが使用する施設(空港)はその人たちの負担によって整備されるべきである」という考え方は理にかなったものだったかもしれません(ただし、航空機の燃料に税金をかけている国はきわめて少数で、そのうちの米国でも課税割合は日本に比べればはるかに低いのです)。

しかし、今や日本国民のほとんどが航空機を利用できる時代です。したがって、こうした仕組み自体を根本的に見直す時期が来ているのではないでしょうか。

また、こうした特別会計の形をとると、本当に必要な空港がほとんど完成した後は、無駄遣いされる危険性があります。使い道のなくなった財源は、不必要なものと見なされ、廃止されてしまうため、無理にでもこうした財源を使い切ってしまおうとする動きが出てくるからです。

行政当局は財源の配分権を行使して、民間企業をコントロールすることもできますし、あわよくば官僚の天下り先を確保することもできます。ですから、なかなかこの制度を変えようということにはならないのです。


3.空港の需要予測が甘かった
空港が次々とつくられていったもう1つの大きな理由に、需要予測の甘さがあります。
一般に、事業を始める際には、その前に需要の予測を行うものです。空港建設の場合も例外ではありません。むしろ、巨額の資金を投入することになるのですから、余計に慎重に計画の妥当性を審査しなければなりません。

しかし、その予測結果は、後に大きな問題となるほどに現実と乖離することが多かったのです。そこには、予測にともなう技術的な難しさもさることながら、構造的な問題がありました。
まず、空港の需要予測を行う段階では、「その空港に対してどの航空会社がどのくらいの便数を就航させるか」がわかっていません。ですから、あくまでも「希望的観測」に基づいて予測を行うことになります。

たとえば、茨城空港の場合には、札幌・大阪・福岡・沖縄に路線が開設されると見込んで予測を行いましたが、開港時に実際に就航したのはソウル線だけでした。少し遅れて神戸線が就航しましたが、両者を合わせても1日2便という状況です。

次に、「空港ができれば、周辺地域の人々がその空港を使うだろう」という甘い想定が、需要予測には入り込みがちです。周辺地域の利用者数をどうしても過度に多く見積もってしまうのです。 

ところが、利用者が空港を選択するときの基準は、単に地理的に近いかどうかだけではありません。むしろ重要なのは、「利用したい路線。時間帯にどれだけ多くの便数が設定されているか」「運賃はどうなのか」といったことです。この点、新規に開港する空港は、どうしても就航する路線や便数が限られます。

また、乗り入れる航空会社も限定されるため、競争原理があまり働かず、どうしても運賃設定が割高になる傾向があります。就航直後はキャンペーンなどで団体客などに対して割引を行うこともありますが、やはりその後は他の大空港よりも高めになってしまいます。

第3に、長期スバンの状況予測がそもそも難しいということも挙げられます。日本の場合、空港の建設はかなり長期にわたります。空港の建設を決定する手続きだけでも非常に長い時間を要しますし、建設が決まってからも、騒音問題や漁業権の補償などをめぐって、地元の住民らとしかるべき調整を行わねばなりません。また、土地の買収交渉も容易ではないでしょう。このように、どんどん時間が積み重なっていきますので、通常は建設決定から完成までに10~20年の歳月が必要になります。

通常の経済予測でも、5年くらい先の見通しは、予測というよりも「願望」であると言われることがあります。2001年の米国同時多発テロや2008年のリーマンショックのように、まったく予期せぬ大きな構造変動が起こることもあります。ですから、需要予測はそもそも難しいのです。


この記事を見た人は、一緒にこんな記事も読んでいます!