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LCCに対抗するアライアンスにはたくさんのメリットがある

航空アライアンスのたくさんあるメリット
航空業界では「アライアンス」と「LCC」の2つが大きな軸をなしています。これらの背景と現状、そして今後の動きについて概観していきます。

アライアンスとは、国際間で企業が戦略的に提携関係に入ることで、現在の航空業界の主なプレーヤーの1つとなっています。このような提携関係は、何も航空業界にだけ見られるものではありません。自動車業界でも通信業界でもアライアンスが進んでいます。

アライアンスは、グローバル社会では普遍的なものとなっているのです。アライアンスが重要になってきているのはなぜでしょうか。それは、経済がグローバル化し、巨大で複雑な国際市場が登場した中、1社だけの力でライバルと競争することが難しくなってきたからです。

為替レートの動きも激しくなりました。情報化の進展によって、かつてはとても情報が入らなかった辺境とも言えるような場所での出来事が、世界全体の相場に即座に影響を与えるようになったのです。
さらに、生産拠点を国際的に展開するのであれば、その土地の事情をよく知ったパートナーと組んで、相互に独立性の高い関係性を築くことにもメリットがあります。
文化的リスクやコミュニケーションリスクなどを考えた場合、自社単独で国際展開するよりもよほどリスクが少ないからです。


2.アライアンスの活動と航空企業へのメリット
アライアンスの活動
市場経済のグローバル化、ボーダレス化が進み、人や物の移動を掌る国際航空運送のネットワーク化、およびネットワークのグローバル化への強い要請の中で、米国のオープンスカイ協定を挺子にしながら、より深い提携をし、航空企業間で戦略的に進めた提携(MultilateralStrategic Global Alliance)がグローバル・アライアンスである。このグローバル・アライアンスが航空企業にどのようなメリットを与え、また市場、消費者へはどのようなメリットを与えるのであろうか。

スケールメリットによるコストの削減
什器備品の共同購入(機内の紙コップ等)や通信回線の共同使用、また機内映画の共同購入などをアライアンスのメンバー共同で行うことで膨大なコストの削減が図られている。それぞれの会社の機能を横断的に統合し(HorizontalIntegration) 合併に近い効果を目指す(VirtualMerger) ものである。

各国での空港ラウンジについてもそれぞれの空港の主たるメンバー航空会社(Landlord) のイニシアティブで共同の施設を確保することはコスト面はもちろんのこととして、アライアンスのプレゼンス、一体感を示すことができ、また利用者にとっても便利なものになる。

成田空港では2006年の6月からアライアンスごとに空港ターミナルを使い分ける政策が導入され、ワンワールドはターミナル2、スターアライアンスはターミナル1南ウイング、スカイチームはターミナル1北ウイングを使用することとなり、ますますアライアンスごとの結束や競争が激化してくると思われる。

パートナーである航空会社の自国における比較優位を相互利用することにより、新規市場開拓に係る膨大な投資費用の回避にもなる。さらなる戦略として、航空企業にとって最大のコストである燃油をパートナーが共同して購入することができると大きなコスト削減となるしまた航空機の共同購入なども検討されている。予約管理やフライトの運航にかかわるシステムも各社バラバラのシステム接続から、単一ホストコンピュータの導入なども考えられるであろう。

経営資源の共有・活用
空港における航空機の発着枠(スロット)の確保は航空運送の生命線である経営資源であるが、成田空港やロンドンのヒースロー空港などでは空港の発着許容量がすでにいっぱいで、いい時間帯のスロットは確保するのが不可能な状況である。スロットをすでに確保している航空会社でも必ずしもすべて満席で運航しているわけではないこのような場合に、パートナーにその便名(Code)をつけさせて(コードシェア)、その代わりに自分が確保できていない時間帯の相手パートナーキャリアの便に自社の使名を表示するような形でネットワークを拡大し相互に貴重な経営資源であるスロットの効率的活用が可能となる。

またコンピュータのシステムを統一することで、市場情勢の分析など経営サポート手法の共有という分野でも大きな効果がある。人材という一番大切な経営資源についてもパートナー間で広く交流をしマーケットの国際性、多様性についての理解を深める努力はアライアンスの活動での重要な取り組みである

コードシェアによるネットワークの拡大と競争力の強化
1995年に発表された米国のモデル・オープンスカイ協定は、オープンスカイを世界に広めていくという米国の国際航空運送政策に基づいて導入された。この中では種々の規制が取り除かれているがコードシェアの導入も重要なものである。米国は将来的に規制緩和が方向づけられている場合には、旧来の制限的な2国間航空協定においてもコードシェアを認める方針を示した。
これにより市場の競争環境をさらに高め、路線選択の幅を広げることで消費者にも利益をもたらすと考えたのである。

コードシェア (Code-sharing)とは、提携パートナーキャリア間でお互いの運航便に相手方の使名(Code)表示を認め、それぞれが自社便としてネットワークを広げ、FFP (Frequent Flyer Program)の付加価値なども活用しながら販売力を強化しようとするものである。たとえば米国東部への路線では日本の航空会社の便は午前中に出発するが、米国の航空会社の便は日本に午後に到着した機材を夕方に出発させる。

それぞれがコードをシェアして自社便表示することで旅客の選択肢が広がる一方、航空会社のほうでも自社で1日2便を運航するコストを考えれば効率的に2便販売できることになる。運航側の航空会社をオベレーティング・キャリア(operatingcarrier)。自社の便名を相手側の運航便に表示する側の航空会社をマーケティング・キャリア(marketingcarrier) と呼んでいる。

コードシェアにもいくつかの形態があるが一定数の座席をマーケティング・キャリアが買い取り自社便名で販売するブロックト・スペース・コードシェア(blocked space code-sharing) と呼ばれるものと、座席を事前に買い取るのではなく、運航者のホストコンビュータでマーケティング・キャリア便も同じくインベントリーとしてコントロールしながらCRS(Computer ReservationSystem.コンピュータ予約システム)で売っていくフリー・セールス・コードシェア(freesales code-sharing) が代表的なものである。

前者では座席を買い取ったマーケティング・キャリア便販売収入はマーケティング・キャリア側の収入として扱われるのに対し後者ではマーケティング・キャリア便の販売収入は運航会社のものとして、マーケティング・キャリアはコミッションを得ることになる。

ジョイントFFP (Frequent Flyer Program) の提供
アライアンスのパートナー同士でそれぞれのFFPプログラムを共通に使用できるようにすることで常連顧客を共同で獲得していこうとするものであるが、消費者の側でもその利用範囲が格段に広がり消費者利便を高めている。


3.3つのグローバルアライアンスが競合
最近の航空業界の動向を語るうえで欠かせないのが「アライアンス」。航空会社が運航やサービスなどの面において、世界的な規模で協力関係を結ぶ提携グループだ。1990年代後半以降、こうした大規模な提携グループが相次いで誕生した。

世界初のグローバルアライアンスは、97年にユナイテッド航空、ルフトハンザドイツ航空など5社によって設立された「スターアライアンス」。同アライアンスにはその後、ANA(99年)、シンガポール航空(2000年)などが相次いで加盟し、現在も世界最大のアライアンスとして君臨する。

第二のワールドアライアンスとして、98年に誕生した「ワンワールド」。
アメリカン航空、ブリティッシュ・エアウエイズなど5社でスタートを切る。従来、共同運航(コードシェア)やマイレージ提携などでワンワールド各社と比較的近い関係にあった日本航空も、07年に正式加盟している。

3つ目は、2000年に発足した「スカイチーム」。エールフランス航空、デルタ航空、大韓航空など4社でスタートを切り、その後加盟会社を増やしている。


4.航空アライアンスにはこんなメリットがある!
アライアンスに加盟する航空会社は、さまざまな側面で連携を進めることで、競争力の強化を図っています。
その一つが、他社機材を使うコードシェア便の運航などによる自社ネットワークの拡大。自社便では路線展開が難しい都市や地域へネットワークが持て、コスト削減と顧客の利便性向上が同時に実現する。

またサービス面では、チェックイン業務の共通化、空港ラウンジの相互利用などの地上サービスを共通化することで、コストを削減できるメリットがある。

そして、サービスにおけるアライアンスの軸ともいえるのが、マイレージサービスでの提携だ。アライアンスの加盟会社同士ではマイルの相互加算、特典の相互利用ができ、利用者にとっての利便性が大幅に高まる。空港施設の共同使用や整備面での協力、燃料や部品の共同調達などでもアライアンスの利点が発揮できる。

加えて、アライアンスの提携関係を深化させ、合同で路線やスケジュールの調整、収入の管理、航空券の販売などを行う戦略的提携(合弁事業)への動きも広がりつつある。こうした流れが、今後さらなる航空業界の再編を促す可能性もある。

さらには、乗り継ぎをしやすくするような空港ターミナルの配置、待合ラウンジの共用化なども挙げられます。たとえば成田空港では、アライアンスごとに使用するターミナルが分かれています。これは海外の他の空港でも広く行われていることです。
世界の航空市場はどのような状況になっているのでしょうか?
現在、世界の航空会社は、アライアンス、LCC、そのどちらにも属さない航空会社の3者に分類できます。


5.大手航空会社はアライアンスで連携強化を図る
航空業界では、国境を越えたアライアンス(企業提携)が進んでいます。現在、主なアライアンスとしては、スターアライアンス、ワンワールド、スカイチームの3つがあります。いずれも欧米の航空会社が中心にあり、世界各国の航空会社がこれに加盟しています。

ちなみに、日本航空はワンワールド、全日空はスターアライアンス入っています。各航空会社は国際的な競争力を手に入れることを視野に入れつつ、このようにアライアンスを組んでいます。最近では、アメリカン航空を中心としたワンワールドと、デルタ航空を中心としたスカイチームとの間で、日本航空の争奪戦が繰り広げられたことが記憶に新しいのではないでしょうか。


進む航空会社の二極化
航空需要の急速な増大

今後数十年にわたって、世界全体での航空需要は右肩上がりで上昇するという予測はさまざまな機関でほぼ一致している。

その原動力となるのが、中国・インドに代表される新興国の経済発展と、中間層の人口拡大である。これまであまり航空機を利用してこなかったこれらの層によって、2030年には、現在のほぼ2.6倍の輸送量(人キロ)が見込まれている。

なかでも、経済発展の著しいアジアでの航空需要の伸びは顕著で、日本もその恩恵を期待できる地理的な優位性がある。
ただし、こうした需要の伸びは、そのまま個々の航空会社の規模拡大を意味するものではない。

近年の航空需要増大の多くを支えているのはLCCである。レガシーキャリアと呼ばれる既存の航空会社よりも安価なLCCは新規需要を掘り起こす一方、これまでの航空会社のシェアを奪う方向にある。こうしたなか、レガシーキャリアでは、マイレージプログラムやラウンジの充実など、アライアンス加盟エアラインとしてLCCとの差別化を図る戦略をとっている。

たとえば、日本のエアラインでは、比較的客単価の低いアジア路線やリゾート路線などはLCCに任せ、ビジネスクラスの利用が多く、客単価が高い欧米線に特化する方向にある。

ここ数年、日本航空、全日空をはじめ、日本の航空会社の多くは業績を伸ばしている。しかし、日本の人口が微減しつづけることを考慮すると、今後は、国際線でとくに航空需要の伸びが大きいアジア各国の旅客をいかに呼び込むかにかかっている。

対するLCCも、参入障壁が下がったうえ、低コスト運営が強いられるので、当面はきびしい経営が続くことが予想される。とくに整備にかかわる経費や着陸料などの固定費が下げられるかどうかが、日本のLCC発展の鍵となりそうだ。


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