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ボンパルディアは買収して成長したカナダの航空機メーカー

1.ボンバルディアの詳しい概要について
ボンバルディア
1989年創業
カナダモントリオール
製造拠点
カナダモントリオール

ボンバルディアはどんな飛行機をつくっている
ボンバルディアのCRJが日本にはじめて到着したのは2001年4月だった。 JALグループがローカル路線のダウンサイジングにともない、CRJ200を導入。それまで160席クラスのマクドネル・ダグラス機MD-90で運航してきた地方と地方を結ぶ路線などに50人乗りのこの画期的なリージョナルジェットを投入した。

CRJ200はビジネスジェット「チャレンジャー」をベースに設計され、キャビンの居住性を高めるために太めのボディを採用しているのが特徴だ。エンジンは機体後方の両サイドに、垂直尾翼の上のほうに水平尾翼を配置。乗降用のドアは前方にひとつで、主翼上部に小さな非常口ドアが見える。

CRJはJALグループのジェイエアが運航する200のモデルのほか、日本ではANAと提携するアイベックスエアラインズが70席クラスのCRJ700の導入も進めている。

デ・ハビランド・カナダが開発したモデルをベースにボンバルディアが受け継いで進化させたDHC-8も同社の代表機種のひとつ。Q100、Q300、Q400などのタイプがあり、それぞれボディの長さが異なる。基本型のQ100は全長22.3mで39人乗り。Q300はQ100のボディを3.4m延長して50人乗りに、Q400はそれよりもさらに7.1m長い同シリーズの最長タイプで74人乗りだ。

シリーズ名のQは「Quiet(静かな)」の頭文字で、設計にさいしては騒音と振動を抑制する技術を駆使し、居住性を向上させた。外観の特徴は、旅客機では珍しいボディの上部に翼をつけた高翼機であること。じっさいに利用してみるとプロペラ機でありながら機内はとても静かだ。また高翼機なので窓を遮るものがなく、視界も開けて快適なフライトが楽しめる。

ボンバルディアの新しい機種として、最新の「Cシリーズ」にも注目しておきたい。Cシリーズは同社がはじめて挑んだ100席超のクラスの旅客機で、ボーイング737やエアバスA320という強力ライバルと競い合う存在だ。スイスインターナショナルエアラインズが世界に先駆けてCS100(座席数110席)の商業運航を2016年7月よりチューリッヒとパリを結ぶ路線で開始した。長胴型のCS300(同135席)の開発も進んでいる。


2.ボンバルディアの歴史や機種の特徴
老舗メーカーの買収の末世界規模にまで成長
カナダのボンバルディアは、元々はスノーモービルのメーカーとしてスター卜した。しかし1970年にオーストリアの鉄道車両メーカーだったローナー・ロータックスを買収して鉄道事業に進出。1986年には、カナダの老舗航空機メーカーだったカナデアを買収して航空事業にも乗り出した。その後、1992年までにショート・ブラザーズ、リアジェット、デ・ハビランド・カナタを次々に買収して世界有数の航空機メーカーとなった。

日本の航空会社で、活躍しているボンバルディア機としては、IBEXエアラインズが運航するCRJ700、オリエンタル・エアブリッジが運航するDHC8-200(Q200)、そしてANAウイングスや琉球エアコミューターが運航するDHC8-400(Q400)がある。これらの名称に統一性がないのは、CRJはボンバルディアに買収される以前にカナデアのリージョナルジェットとして作られたため、DHCもやはり買収前のデ・ハビランド・カナダの頭文字を取ったため、そしてQは買収後に客室の騒音を抑えるための装置が追加されたあとQuiet(静けさ)を強調するために新しくつけられた名前だからだ。

CRJファミリーは50席から104席までを網羅するリージョナルジェット、Qシリーズは37席から90席までを網羅するターボプロップ機として人気を集めたが、いずれもさらなる胴席数増加はむずかしく、またオーバーヘッドビンの大きさなども十分とはいえない。とりわけ大マーケットであるアメリカでは、手荷物を預けると追加料金が必要となるため、機内に荷物を持ち込む人が多い。オーバーヘッドビンの大きさは、旅客機の人気(集客力)を左右する大きな要素だ。

Cシリーズ、Qシリーズの譲渡
そこでボンバルディアは新たに、より大型のCシリーズを開発することになった。これは100~130席クラスの旅客機で、737やA320の短胴型(A318)に匹敵する。しかし737やA318が、より大型の旅客機と主翼や構造を共通化して無駄が多いのに対して、Cシリーズはこのクラスに最適化した設計にできる。 そうして得られる高い経済性が勝算だ。

ただしCシリーズの開発は難行し、増大した開発費がボンバルディアの経営を圧迫した。Cシリーズは2016年に就航したが、そのままでは事業継続は難しい状態になった。そこで手を組むことになったのがエアバスで、Cシリーズ事業の過半数を取得。2018年7月から、新たにA220としてエアバスのラインナップに加えることになった。

さらに2018年11月には、ボンパルディアはQシリーズ事業についてもカナダの航空機メーカー、バイキング・エアの親会社であるロングビュー・アビエーション・キャピタルに売却すると発表。実質的には、旅客機事業から手を引くことになった。


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