一つの航空便を、複数の航空会社の便名で運航するコードシェア。低コストで自社ネットワークを拡張できる手法として、同一航空連合内や提携航空会社間で、コードシェアが広く利用されています。
提携会社の路線に「相乗り」
成田空港などのフライト情報を見ると、航空会社も便名も異なるのに、出発時刻も搭乗ゲートも同じ、という事例が数多くみられます。これは、一つの便に複数の航空会社の便名が付与された「コードシェア」と呼ばれる運航形態が採られているためです。
もともとは、自国と相手国の航空会社が共同で路線を開設し、機材を交互に運航したり、客室乗務員が相互に乗り入れたりする「共同運航(ジョイント・オペレーション)」と呼ばれるかたちが主流でしたが、現在のコードシェアは、実際に機材や乗務員を用意して路線を運航する会社は一社だけで、他社(提携会社)はそこに自社の便名を付けて座席を販売しています。便名は通常、実際に運航する会社が数字一桁~二桁、提携会社は数字四桁となり、一般に「コードシェア便」という場合は、後者だけを指して呼びます。
コードシェアは、
運航会社にとっては、提携会社に販路が拡がることで搭乗率向上が期待でき、一方、提携会社にとっては、機材や人的資源を消費することなく新路線開設や増便が可能になります。特に、海外ネットワークの拡張には効果的で、例えば09年時点で、日本航空が自社便を運航している米国の空港は8カ所だけですが、コードシェア便を含めると77空港に上ります。また、成田空港やロンドンのヒースロー空港のように発着枠が逼迫している空港ではコードシェアが多用されており、現在、成田空港発着の国際線の約7割にコードシェアが設定されています。
航空連合で広く採用
コードシェアは、例えば全日空の成田―シカゴ線に、シンガポール航空、タイ国際航空、ユナイテッド航空、USエアウェイズの4社の便名が付与されているように、同じ航空連合(この場合はスターアライアンス)の会社同士で広く行われています。全日空はまた、ヴァージン・アトランティック航空やカタール航空などの独立系会社ともコードシェアで提携しています。
07年まで航空連合に参加していなかった日本航空の場合は、加盟するワンワールドの航空会社以外に、スカイチームのエールフランスや大韓航空、スターアライアンスのタイ国際航空やニュージーランド航空、独立系の中国東方航空やエミレーツ航空など、コードシェアの提携先は多岐にわたります。
ただ、コードシェア便の搭乗場所は、予約した航空会社ではなく、運航する航空会社のターミナルになります。また、機内サービスの内容や手荷物の受託条件、紛失時の補償、トラブル時の対応なども運航する会社の規約が適用されるため、利用の際は注意が必要です。
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