エンブラエル
1969年創業
本社 ブラジル サンパウロ
製造拠点
ブラジル サンパウロ
エンブラエルはどんな飛行機をつくっている
エンブラエルはブラジル国営の航空機メーカーとして1969年に設立された。
首都サンパウロに近いサン・ジョゼ・ドス・カンボスという町に本拠地がある。
現在の主力旅客機は、2004年就航以来、リージョナルジェットのベストセラー機に成長した「EJetシリーズ」だ。胴体径が細身のボンバルディアCRJシリーズに比べてゆとりあるサイズに設計され、キャビンが広々している。
日本ではJALグループのジェイエアが2010年に76席仕様のERJ170を初導入。CRJ200の1.5倍、ボーイング737の半分という絶妙のキャパシティを活かし、地方都市を中心に活躍路線を拡大していった。
170のほかに、175(座席数86席)、190(同104席) 、195(同110席)の計4つのモデルがあり、県営名古屋空港などを拠点とするフジドリームエアラインズは170と175のふたつのタイプを運航している。 スタイリングはボーイングやエアバスの小型機に似ていて旅客機としてはオーソドックスだが、おしりの部分の先がツンと尖った形をしているのが個性的だ。
ブラジルの国営企業から民営化し国際的メーカーへ
エンブラエルという名前は、ポルトガル語のブラジル航空会社に由来する。
1972年には最初の航空機として18席の双発ターボプロップ機EMB110パンディランテが初飛行し、これは後に旧広島空港を拠点とする西瀬戸エアリンクでも使われた。
西瀬戸エアリンクの事業は失敗に終わったが、パンディランテは約500機が製造されたから、新興メーカーとしては大成功といえるだろう。
1983年には、より大型(30席)の双発ターボプロップ機EMB120ブラジリアが完成し、こちらは354機が製造された。注目したいのは、ハンディランテもブラジリアもブラジル国内だけでなくアメリカを含む世界各国に輸出されたということ。つまりエンブラエルは、その頃からFAA(米連邦航空局)など自国外での型式証明取得や、海外航空会社への販売およびサポートなどの経験を着実に積み重ねていたということだ。
ただし経営状態は常に悪く、その原因のひとつが国営企業ならではの役人気質にあったという。そこでブラジル政府は、1994年にエンブラエルを民間に売却(つまり民営化)して経営態勢を一新した。新経営陣はコストを大幅に削減する一方で、EMB120をベースにジェット化したERJ145シリーズの市場投入を決定。これがリージョナルジェットブームの波に乗り、1200機以上が生産されるヒット作となった。
時代のニーズにマッチしたEジェットの成功
ただしERJ145は胴体が細く、ライバルであるボンバルディアCRJの2+2席に対して、2+1席しか装備できない。オーバーヘッドビンも小さいので、キャスターバッグなどを持ち込むのは無理だし、さらなる長胴化もむずかしい。
そこでエンブラエルは、完全新設計のEジェットシリーズを開発することになり、2002年に最初のモデルE170を初飛行させた。Eジェットには胴体延長型E175や、さらに胴体を延長して主翼も大型化したE190/E195も作られている。
Eジェットは、大型ジェット旅客機と同等以上の快適さをもたらす太い桐体と大型の床下貨物室を持ち、合計1500機近くを受注した。また2018年4月には、新しくギアードターボファンPW1000Gを装備するEジェットE2ファミリー(E190-E2)も路線就航している。
2018年7月、エンブラエルはEジェットシリーズ事業についてボーイングと共同で新会社を設立することを発表した。新会社の本社はブラジルに置かれるが、出資比率はボーイング80%に対してエンブラエル20%となる。
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