「玄関口」空港での職種
地球規模、かつ日々ダイナミズムに満ちた航空ビジネス。そこでは、実に
さまざまな職種のプロの仕事人たちが、安全で正確、そして快適なフライトの実現のため、24時間。365日休むことなく活動している。空に関わる職種という視点から、仕事の中身をのぞいてみよう。
真っ先に思い浮かぶのは、機内と空港の仕事だろう。自ら乗務し、航空機の運航を担うのが、運航乗務員(パイロット)と客室乗務員。どちらも航空業界ならではの職種で、就職人気も相変わらず高い。
空港に目を転じると、仕事の種類はぐんと増える。
まず利用者にとってもおなじみなのが、チェックインや搭乗手続きなど(これらを業界では旅客ハンドリングという)を担当するグランドスタッフがいる。
また、旅客の目にはふれないが、飛行計画書(フライトプラン)を作成し、天候などの情報とともに運航乗務員に提供する運航管理者(ディスパッチャー)もこの業界独自の重要な職種である。
安全運航を担い、航空機の整備、点検を行うのが整備士だ。空の安全性がますます問われるなか、その役割は一段と重みを増している。空港の制限区域(ランプ)内で、航空機の誘導、給油、貨物の積み下ろしなどの地上業務を担当するグランドハンドリングスタッフも、運航に不可欠の存在だ。
空港ではさまざまな職種の公務員も活躍している。
その代表ともいえるのが、安全で効率的な運航の要となる航空管制官。また国際空港では、入国審査官や税関職員などの職種がある。
2.グループ会社にも多様な仕事
一方、航空会社の本社には、一般企業と同様の多様な職種がある。営業、企画、マーケティング、財務、経理、広報、宣伝、総務、人事、情報システムなどなど、航空会社の総合職にとって活躍の場はきわめて多様で広い。また市内オフィスでは、予約案内業務などの職種もある。
さらに大手のグループ会社にまで範囲を広げると、広範な業種の企業があり、それぞれにさまざまな職種が用意されている。たとえば、機内食の調製を業務とするケータリング会社のスタッフなどもそのひとつだ。大手航空会社には系列の旅行会社もある。
グループ会社以外でも、航空機メーカー、同部品メーカー、航空関連商社、空港会社など、関連するフィールドは多彩だ。また、パイロットを例にとっても、不定期便のパイロット、軽飛行機やヘリコプターなどの事業用パイロットなどの種類がある。
3.グランドスタッフになるためには、どこに応募すればいいの?
グランドスタッフを採用しているのは、航空会社ではなく「旅客ハンドリング会社」。
グランドスタッフたちは、JAL やANAなど各航空会社の
制服を着ている。「グランドスタッフは、JALやANA など航空会社が採用している」と思っている人もいるだろう。実は、
航空会社が自社採用しているグランドスタッフは、ほんのわずか。
グランドスタッフになるには3つの方法がある
空港で働くグランドスタッフは、航空会社のロゴが入った制服を着用している。そのため、グランドスタッフになるには、「航空会社を受験するもの」と思いがちだ。だが実は、グランドスタッフになるには、①航空会社に就職する、②旅客ハンドリング会社に就職する、③総代理店に就職する、という3つの方法がある。
①航空会社に就職する
現在、グランドスタッフを採用している航空会社は、国内航空会社ではANA(成田空港、羽田空港のみ)、スカイマーク、北海道国際航空(エア・ドゥ)、スターフライヤー、スカイネットアジア航空の5社
②旅客ハンドリング会社に就職する
国内航空会社のグランドスタッフのほとんどは、「旅客ハンドリング会社」が採用している。旅客ハンドリング会社とは、航空会社が設立した、空港での旅客サービスを専門に行う会社のこと。成田空港や羽田空港、関西空港などの空港には必ず旅客ハンドリング会社が設立されており、毎年30~ 100名程度の採用を行っている。また、新卒・既卒どちらにもチャンスがある。
③総代理店に就職する
旅客ハンドリング会社が設立されていない地方の空港では、「総代理店」がグランドスタッフを採用している。「総代理店」とは、航空会社と契約を結んで、旅客ハンドリング業務を代行している会社のこと。旅客ハンドリングだけでなく、貨物ハンドリングや航空機の運航支援など、空港の仕事をまとめて受託している会社が多い。総代理店の多くは、地元の鉄道会社やバス会社など運輸系の会社だ。業種名は「総代理店」のほか「空港業務受託会社」「航空運送代理業」「航空運送取扱業」と書かれていることがある。
ほとんどの総代理店はJAL便だけ、ANA便だけという具合に1社ずつ受託しているが、なかにはJALとANAなど2つの航空会社から業務委託されているところもある。そんな会社では、「JALのグランドスタッフになりたいと思って入社したら、配属先はANAの担当だった」ということもあるので注意しよう。
総代理店の採用規模は2~ 3名と少なく、定期的に採用をしないところもある。
「地元の空港でグランドスタッフになりたいけれど、どの会社に就職すればよいか分からない」という人は、HPで調べて働きたい空港と、働きたいエアラインをクロスさせてみよう。そこが、あなたがアプローチすべき会社だ。
では、グランドスタッフを採用しているのはどこなのだろう
か? それは、航空会社が設立した「旅客ハンドリング会社」。羽田空港で働くJAL のグランドスタッフも、関空で働くANAのグランドスタッフも、みんな旅客ハンドリング会社の社員なのだ。
グランドスタッフになるためには、「旅客ハンドリング会社」に応募するのが近道だ。
採用試験はどのように進む?書類審査と面接が重視される
採用試験の中で最人の難関はなんといっても書類審査を突破することだ。求められる人間像を念頭に望み、採用すれば御社にとってこんなメリットがありますよ。ということをアピールする書類を作成する。また、英語力は必須なので、英語力を証明する資格を収得しておくなり、資格のない人はどの程度のレベルなのかを客観的にわかるように表現するなど、周到に準備しておこう
4.グランドスタッフとして活躍しているのは、女性だけではない
国内旅客ハンドリング会社も男性を採用し始めている
客室乗務員として働く男性がまだまだ少ないのと同じく、空港で男性グランドスタッフを見かけることもそう多くはない。「どうせ男性は採用してもらえない」と最初からあきらめている人も多いのではないだろうか。しかし、本当に旅客ハンドリング会社で男性が活躍することはできないのだろうか。
答えはNO。これまでは、旅客ハンドリング会社が採用するグランドスタッフは女性で、男性のグランドスタッフはグループ企業の航空会社からの出向者で占められるというパターンが主流だったが、最近は「積極的に男性のグランドスタッフを採用したい」という意欲のある旅客ハンドリング会社が増えてきている。JALスカイサービス(株)ではGスタッフとして男性が多数在籍しているし、(株)エーエヌエースカイパルでも男性のグランドスタッフが活躍している。またユナイテッド航空やノースウエスト航空、アリタリア航空などの外資系航空会社では、古くから男性のグランドスタッフを採用している。
「男性も歓迎」という流れは、今後も続くはず。
グランドスタッフを志望している男性は、積極的にアプローチしてみよう。
男性ならではの「強み」を面接でアピールしよう
「旅客ハンドリングの仕事には力仕事もありますし、 トラブルがあったときは男性のスタッフでないとお客様が納得されないケースもありますから、男性のパワーも必要です」と、ある現役グランドスタッフが証言していた。グランドスタッフに求められる素養は男女とも同じだが、男性ならではの「できること」を考えておくと、面接でも光るはずだ。
男性志望者は、採用試験会場で受験者のほとんどが女性なのを見て、その場で圧倒されることも多いと言う。だが、ひるむことはない。適性ありと判断されれば、きっと採用されるはずだ。
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