コンテンツ

ロンドンヒースロー空港はエアラインの乗り入れは豊富だけどターミナルが不便

ロンドンヒースロー空港はエアラインの乗り入れは豊富だけどターミナルが不便
1.ロンドンヒースロー空港
イギリスの首都、ロンドンにはヒースロー空港、ガトウィック空港、ルートン空港、スタンステッド空港、ロンドン・シティ空港と、いくつもの空港がひしめき合っているが、国際線が多く乗り入れるのはロンドン市街の西22km位置するヒースロー空港(LHR/EGLL)である。

ヒースロー空港はパリのシャルル・ドゴール空港、ドイツのフランクフルト空港と並んで、ヨーロッパで旅客利用者数の多い空港のひとつ。古くからロンドンはヨーロッパの要衝であることと、大陸から隔離されているという地理的条件と相まって、ヨーロッパ各国はもとよりアジア、オセアニア、北米、南米、中東、アフリカに至るまで、90以上の航空会社が全世界約170もの都市に就航している。

ヒースローはこのように乗り入れエアラインのバリエーションが多彩で、とくにロングホールのワイドボディ機が多く見られることから、非常に魅力的な空港なのである。

ヒースローはRWY 09L/27RとRWY 09R/ 27Lの2本のパラレルランウェイを持ち、年間を通じて卓越風は西風なのでRWY 27の使用率が高い。周辺地域への騒音対策のため使用滑走路が事前に決められており、離陸専用と着陸専用が毎日15時を境に入れ替わる。たとえば午前中から昼過ぎまでRWY 27Lが着陸専用、RWY 27Rが離陸専用だった場合、15時からはRWY 27Lが離陸専用、RWY 27Rが着陸専用になるというわけだ。

滑走路の使用計画は、空港を管理するBAAのウェブサイトにて公開されている。

2. ヒースローにはターミナル1、3、4、5の4つの旅客ターミナルがあり、ターミナル2は現在工事中のため閉鎖されている。ターミナル1はスターアライアンス、ターミナル3はワンワールド、ターミナル4はスカイチーム、ターミナル5はおもにブリティッシュ・エアウェイズ(BA)が使用している。

ターミナル1と3は隣接しているものの、ターミナル4と5はそれぞれが離れた場所にある。限られた敷地に無理矢理ターミナルを増設した感は否めず、ヒースローエクスプレスがターミナル5まで運行するようになり、ターミナル間のアクセスは容易になったとはいえ、やはりそれなりの手間と時間はかかるのが難点だ。

空港からロンドン市街までは直通電車のヒースローエクスプレスが運行しており、ターミナル3からロンドン・パデイントン駅まで15分地下鉄ピカデリー線では中心部まで50分程度でアクセスできる。

ターミナル1や3などは他の古いヨーロッパの空港と同じくやや暗い印象を受けるのだが、2008年に供用開始されたばかりのターミナル5はガラス張りの明るいモダンな建物で、開放感たっぷり。取材した7月はちょうどロンドンオリンピックとパラリンピックが開催されていた時期でもあり、至る所にオリンピック/パラリンピックのロゴや案内板などが掲示されていた。

手狭になったヒースロー空港は、3番目の滑走路や6番目のターミナルを建設するなどの拡張案も浮上したが、現在は立ち消えになった。代わりにロンドンの東、テムズ川河口部に新空港を建設する計画もある。

イギリスはプレーンスポッティングが盛んな国で、オランダと並んでスポッターの数も桁外れに多い。ヒースローは魅力的な飛行機が数多く見られる場所ではあるものの、撮影という観点ではあまり撮りやすいとはいえない。

外周フェンスには目線の高さに目隠しがされているし、フェンス際に建物が多く空港内を覗ける場所も少ないので、基本的には着陸と離陸を交通用の多い道路際で見ることになる。また巡回している警官の姿も多く、フェンスに張り付いてのスポッテイングはオススメできない。

ただし唯一落ち着いて過ごせる名物ポイントがある。それは地下鉄ハットンクロス駅前の草地で、RWY27Lへの着陸が近くで見られるため、常に大勢のスポッターで賑わっている。ヨーロッパらしい赤瓦屋根の住宅地をかすめながら、次から次ヘとアプローチしてくる機体を、流れ作業のように淡々と撮影するのは、このポイントの醍醐味だ。日本ではまずお目にかかれないエアラインや機体ばかりなので、1日いても飽きることはないだろう。

写真の仕上がりを見て同じアングルに飽きることはあるだろうが…。このハットンクロスのポイント以外は前述のように落ち着ける場所ではないものの、空港周辺を走る無料バスを駆使することで各ポイントにたどり着ける。最近開拓されたポイントでは、ターミナル5から歩いて行ける芝地があり、RWY 09L着陸機をのんびり撮影できる。

木陰もあるので暑い夏場でも快適だ。ただこの場所の立ち入り自体の可否もグレーなので、現状ではあまリカメラレンズを目立たせない方が良いかもしれない。撮影にあたっては、イギリス特有の不安定な天気には毎度泣かされるが、それゆえ雲や虹など空の表情が豊かなので、意外と変化に富んだ写真が撮れるのがいい。

外国にありながら、他の国と比べてなんとなく安心感を感じるイギリス。プレーンスポッティングに理解があるからなのか、はたまた日本と同じ島国気質の国民性から来るものなのだろうか。
この記事を見た人は、一緒にこんな記事も読んでいます!