目次

管制官とパイロットの関係が面白い!空港にある管制塔の役割とは

1.空港の管制塔(コントロール・タワー)と管制官について
管制塔と管制官について
空港機能にとって最も重要な施設であり、また空港の風物詩ともなっているのが管制塔(コントロール・タワー)だ。デザイン的にはビルまたは塔の上に四方ガラス張りの管制室を載せたのが一般的だが、中には面白いデザインのものもあって、旅情をふと慰めてくれたりもする。

関空の管制塔は、空港島の不同沈下に対応するためジャッキアップ・システムを採用している他、フローティング基礎工法なども使っているのがユニークなデザインにも表われていて、なかなか面白い。

アメリカではワシントン・ダレス空港の管制塔を筆頭に、ヒューストン、タンパ、デンバーなどがユニーク。オイルダラーで作ったアブダビやドバイのタワーは超近代的なデザインだ。南米ではリオデジャネイロ空港が面白い。ヨーロッパはオーソドックスなものが多いが、ローマ、ストックホルム、ピラミッド型のアバディーン(スコットランド)などがユニークだ。

管制塔は空港内の見晴らしの良い位置に設置されていて、航空機の離着陸を規則正しく、迅速かつ安全に行なわせるものであり、そこで管制を担当するのが管制官(コントローラー)だ。

地上着陸誘導方式では、まず捜索誘導管制官が、着陸しようとする航空機を空港監視レーダーのスコープ上にとらえ識別したのち、方位・高度を指示しながら最終進入経路上を誘導する。

次に着陸誘導管制官がこれを受け継ぎ、精測進入レーダーのスコープによって、最終進入中の航空機に対してコース、進入角からのズレを知らせたり、助言を与え、情報を通報し誘導する。管制官は離着陸しようとする航空機にその許可を与えると共に、空港周辺の管制圏内を飛行する航空機についてもレーダーで監視しており、管制を行う。


管制官の種類
一言で管制官といわれているが、実はその種類や仕事を行う場所も様々だ。一番よく知られているのが空港の中で最も高い管制塔で勤務する管制官で「タワー管制官」と呼ばれている。タワー管制官は、飛行場から約10マイル(約18キロ)の範囲の航空機を目視とレーダーを使ってコントロールするのが仕事だ。その内訳は、航空機の離陸から高度約300メートルまでと、進入から着陸を受け持つ管制官と、駐機場から滑走路へ通じる誘導路を受け持つグランド・コントロールと呼ばれる管制官とに分かれている。

次に航空機の離発着の多い大空港では、空港から半径約30マイル(約48キロ)、高度約1万5000フィート付近までをレーダーで誘導する出発管制(ディパーチャー・コントロール)と、進入管制(アプローチ・コントロール)が行われているが、これらを受け持つ管制官はレーダー画面と常時にらめっこが仕事だ。その仕事場は、管制塔のタワー管制官と同じ場所にある所もあれば、地下室という所もある。

ちなみに、羽田空港では旧管制塔の8階に羽田と成田の両空港の出発、到着の管制を受け持つレーダー室がある。出発管制や進入管制は、タワー管制と次に述べる航空路管制との聞を取り持つ役割を持つ性格といえる。そして最後に、最も広大な空域を管轄する航空路管制がある。日本では東京コントロールを中心に、北は札幌コントロール、西は福岡コントロールと那覇コントロールとに分かれている。

これらの航空路管制官の仕事場は、必ずしも大空港の管制塔の中にあるとは限らず、東京コントロールの場合は埼玉県の所沢にある。つまり、管制官はその仕事によって羽田空港や成田空港などの空港勤務と、所沢などの管制センターでの勤務と、その勤務地が大きく違うことを知っていてほしい。航空路管制は、文字通り航空路を飛行する航空機をコントロールするもので、ほとんどの空域ではレーダーを使っているが、電波の届かない場所では無線や近年ではCPDLCと呼ばれる衛星を使ったデータ通信が主流となってきている。


2.航空機が安全に飛行するため指示を出す「空の交通整理人」
航空機を運航しているのはパイロットだが、自分たちで航路を決めて自由に運航しているわけではない。地上から空の交通状況を常に確認して、運航中の航空機同士が衝突したりすることがないように、また航空機の航路の流れがスムーズになるように交通整理をしている人がいる。それが航空管制官だ。一般的に「管制官」と呼ばれているのは「航空管制官」のこと。具体的には、航空機の離着陸、飛行経路など、航空機に「どの道を進んでください」と指示を出している。

管制官が勤務するおもな場所は、空港にある管制塔。空港を見渡すことができるガラス張りの部屋から、目視で航空機の動きを監視しながら無線で指示を出している。また、管制塔の下にはレーダー管制室があり、空港から少し離れた航空機をレーダーで管制している。

管制業務を行うには、管制官の資格を取得しなければならない。さらに、目視で行う管制とレーダーを使用する管制では方法もテクニックも異なるため、それぞれ個別に資格を取得しなければならない。管制業務に就いてからも、常にステップアップを目指し勉強が必要な仕事だ。

なお、航空管制官は「航空保安職」のなかのひとつの職種。航空保安職には「航空管制官」「航空管制運航情報官」「航空管制技術官」の3職種がある。各職種の仕事内容については、下記を参照しよう。管制官をはじめとする航空保安職は国家公務員。他の国家公務員と同様に、給料や身分が安定していて、男女差別なく働けるのも魅力だ。


3.管制塔で働く管制官は航空機の交通整理が仕事
飛行場内に設置された高い塔を管制塔(コントロールタワー)という。
この管制塔内には無線電話や管制用レーダー受像機、航空機に指示を与えるための設備などが備えられ、飛行場の上空から地上までの管制業務を行なう。この飛行場の管制業務には、空港を離発着する航空機の管制に加えて空港内の車両や人の監視・指示も含まれている。

この管制塔で働くのが航空管制官(以下、管制官)だ。空港を離発着する航空機にルートや進入角度、スピード、方向など細かく指示し、安全で効率的に離発着させる。そのため航空機は空港の管制エリアに入れば必ず管制官の指示に従わなければならない。なかには空港が混雑している場合には上空で待機させられることもある。だが管制官のいる管制塔は、成田や羽田、関西のほか、規模の大きな主要空港に限られる。

それ以外の地方空港では、航空管制官ではなく管制通信官がいる。この管制通信官とは、滑走路の状態や空港上空の気象情報をパイロットに伝達するのが仕事。そのためパイロットは管制通信官の情報をもとに、独自の判断で離発着を行なう。
また管制官がいるのは空港だけではない。日本の管制空域を飛ぶすべての航空機は、離陸後も航空交通管制部(管制センター)のレーダーで一元的に管理されている。ここで働いているのも管制官だ。


4. 航空機の飛行方式には有視界飛行と計器飛行方式とがあるが、管制圏内を飛行する機体については管制官が飛行方式に関係なく管制する。有視界飛行方式は、パイロットが目視で飛行するに充分な視界が常に確保される気象状態の場合の方式で、飛行計画を最寄りの空港事務所に提出するだけで飛行できる。ただし空港、空港周辺では管制機関の指示に従わねばならない。

計器飛行方式は、視界が不良で有視界飛行ができない気象状態の際に、計器の指示によって行う方式だ。この飛行方式では航空機は管制承認を受けることが必要で、離着陸時はもちろんのこと航路上においても、常に管制機関から指示を受けて飛行する。現在の大型飛行機では、航空交通管制の見地からほとんど常に計器飛行を行なっている。

空港では着陸した機体に対する指示、離陸する機体への指示も管制官が行う。またASDE(空港面探査レーダー装置)によって、空港内の地表面におけるあらゆる航空機、車両の動きを監視するのも管制官の重要な仕事だ。

管制官の主な任務は以上のような航空機の全般的な交通整理だが、もし予定された到着予定時刻を過ぎても到着の通報がないような場合には、捜索や救難活動の援助をするのもまた重要な仕事になる。
管制機関、管制官が常に航空機の飛行を監視し、適切な指示を与えて誘導することによって、初めて安全な空の旅を私たちは楽しむことができるのだ。


5.管制業務は「命令」から「サービス」へと変化
少し前の時代までは、管制官がパイロットに出す管制指示(ルート、高度、変針等)は国土交通大臣の代理行為と見なされていた。つまり、上意下達の命令のように受け取られていたものである。確かに管制官は国土交通省の職員であり、パイロットが重大な指示違反をして、それが事故や異常運航につながったとしたら、航空法違反により国土交通大臣名義の処分を受けることもある。

しかし、現在では殴米のいくつかの国々で管制業務が民営化され、それに伴い管制業務の性格もサービス業務のように受け取られるようになってきた。管制官側からすると、多くの航空機が飛ぶルートや高度などのアサインをお巡りさんが交通整理を行うように一方的に決めた方がやりやすいのであるが、できるだけそれぞれの便のパイロットの要求を尊重して、面倒な作業となっても、調整を行い、希望のルートや高度を飛べるようにしてあげる。このようにサービスを提供するのが管制官の役割であるというように変化しているわけだ。

実際に、最近では悪天候を回避するためにルートを途中から変更したり、乱気流に遭って高度の変更要求を何回しても、管制官は面倒くさがらないで快く応じてくれたり、スタンバイと言って何とか他の航空機との調整を図ってくれるようになった。

しかし、我が国を含む欧米以外の国々では、相変わらず命令口調で、管制指示が合理的でないと感じて理由を聞いても、「こっちが決めたのだから従え」式に同じ管制指示を繰り返したり、無視されることも少なくない。ひどいものでは、質問しただけなのに、お上にたてつくのかとばかり嫌がらせをされたこともあった。

中国・北京の首都国際空港での成田空港へ帰る便で、ATCクリアランス(飛行承認)を受領した順番がかなり早かったのに、同じ成田空港へ向かう他社便を優先的に出発させたので、理由を尋ねたところ、その問いには答えず、誘導路で急に使用滑走路の離陸の向きを反対に指示され3000メートル近く反対側にタキシングさせられたことがあった。そのことによって離陸が大幅に遅れたことはいうまでもない。以来、中国では管制官に向かって「REASON-WHY?」は禁句となった。

この件に限らず、中国やロシアでは、国際的に管制用語は英語でと決まっているにもかかわらず、自国の航空機との間では自国語を使用することがあり、IFALPA(国際的なパイロットの組合)からも改善の要望が出されてきた。パイロットからすると、自国語で話されると、どこに航空機が飛んでいるのか分からず、ニアミスにならないかといつも冷や冷やして飛ばなければならないのである。



6.スキルアップのカギはパイロットとのコミュニケーション
パイロットとそれをサポートする管制官、冒頭でも述べたが、緊急事態に遭遇した時に機が無事に生還できるかどうかは、まさにこの両者の息の合った連携がカギとなる。パイロットから緊急事態発生の通報を受けた管制官としては、基本的にパイロットの要求を尊重して適切な誘導や救助体制をとるのは言うまでもないが、そのためには、パイロットがどのような方法で航空機を操縦しているのか、加えて、航空機の性能と諸システムはどうなっているのかといった知識がなくてはならない。

しかし、残念ながら決して十分とはいえない現実がある。管制官は一度は民間機のコックピットに体験搭乗することはあるが、それは運航の現場の流れの一端を見学するにすぎない。
なので、JAL123便事故や最近のピーチ・アビエーションの異常運航のケースについて、お互いにどうすればよかったのかなどと話し合うのである。それは結論を出す目的でなくてもよい。そのような交流会が開ければ、二次会などでさらに航空談議は盛り上がり、率直な意見交換になっていくだろう。

だが現実には、大手の航空会社でもそのような機会を設けようとするところはない。交流会を開くとなれば、パイロットに一日地上業務としてスケジュールを入れる必要があるので、それならラインで航空機の操縦に当てた方が実利にかなうとされているようだ。管制官の方でも同様の事情があろう。しかし、目先の利益ばかりを追求しないで、パイロットと管制官のスキルアップという視点で航空の安全文化を高める必要に気が付いてもらいたい。

アメリカでは、これまで重大な緊急事態に陥った航空機が奇跡の生還を果たしたドラマチックな例がいくつもある。その過程を調べていくと、管制官の適切な誘導と機転を利かしたサポートが見受けられるのである。アメリカでは小型機の免許を持った管制官も少なくないことや、飛行機が子どもの頃から身近にあったという環境の差も大きいことだろう。
日本ではそのような状況にもないので、それを埋める方法としては、両者の交流会を開催する以外にない。航空会社各位と管制側の努力に期待したいものである。


7.管制官になるにはふたつの方法がある
空港で働く公務員の中でも、航空機の安全運航を支える管制官は、花形職業といえる。
航空管制官は、空の交通整理人「航空保安職」という職種のひとつだ。

航空管制官の仕事は、パイロットの次に安全運航に直結するものである。管制官は機を安全に誘導するという極めて重要な任務を持っていて、時にパイロットに助言を与えられる地位にもある。
近年、管制官は空の世界に憧れて入ってくる若者にとって人気の職業で、その試験の倍率は約20倍ともいわれている。加えて最近では女性にも人気の仕事になり、それを反映してか、テレビドラマにも登場するようになった。従来は空の主役といえばパイロットかCAが当たり前であったが、女性管制官が主役のドラマが放映されるようになったことは喜ばしい限りだ。実際、女性管制官の占める割合は50%に近づいているようだ。

管制官になるには、志望者の年齢によって、①航空保安大学校を受験する、もしくは②管制官採用試験を受験する、というふたつの道がある。「航空保安大学校」は、管制官など航空保安職に就くための勉強ができる学校。管制官の業務には航空業界の専門的な知識と特殊技能が必要になるため、運輸省(現在の国上交通省)が設立した教育機関だ。航空保安大学校の航空管制科に入校すると、2年間の勉強を経て、全国の航空官署に配属される。航空保安大学校の航空管制科は、高校卒業見込みの年齢から20歳まで受験することができる。

そして、管制官採用試験は大学卒業程度が対象の試験。21~ 29歳まで受験できる。合格者は航空保安大学校で半年間の研修を受けてから、管制機関に配属される。航空管制運航情報官、航空管制技術官になるには、やはり航空保安大学校を受験しよう。入校後2年間の研修ののち、各官署に配属される。
ちなみに、航空保安大学校に入校することが、民間企業でいう「就職」にあたるので、授業料が無料なだけでなく、給料が支給される仕組みになっている。
まずは航空保安大学校か人事院に資料を請求する

現在高校3年生で航空保安大学校への進学を考えている人も、社会人で航空管制官採用試験を受験しようと考えている人も、まずは航空保安大学校に資料を請求しよう。資料の請求は年間を通じて受け付けており、中請すると受験案内と申込用紙が送られてくる。

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