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旅客機メーカーの8割がボーイングとエアバス!売上高ランキングを発表

1.世界の空を駆ける旅客機の4大メーカー
旅客機をつくっているメーカーといってまず思い浮かぶのが、アメリカのボーイング社とヨーロッパのエアバス社だ。市場はこの両社がほぼ80%を占有している。

アメリカ・シアトルを中心に拠点を展開するボーイングは、小型機から大型機まで幅広い機種を製造する。その代表格が、最新鋭大型機の787や「トリプルセブン」の名で親しまれる777、小型機の737などである。787は世界中のエアラインから受注を拡大中であり、また大手各社が長距離国際線の主力として採用している777については開発を進める新バージョンの777Xを投入して大型機市場でさらに攻勢をかけようとしている。小型機ではベストセラー737の進化型である737MAXを誕生させた。

これに対して欧州連合の企業であるエアバスは、フランス・トゥールーズに本社工場を置く。総2階建ての超大型機A380から小型機のA320まで豊富なラインナップを揃えてエアライン各社のニーズに応えてきた。 現在熱い視線を集めているのは、2015年1月から飛びはじめた次世代機A350XWBだ。小型機市場ではボーイングの737MAXに対抗するA320neoが、日本ではすでに2016年にANAに納入されている。

ボーイングとエアバスの最大手2社を追うのが、カナダのボンバルディアとブラジルのエンブラエルである。 リージョナル機(座席数が100席未満の旅客機)やビジネスジェット、水陸両用機などを製造してきたボンバルディアは、日本ではローカル路線で活躍する高翼プロペラ機DHC-8シリーズで知られる。ボンバルディアとシェア第3位の座を争うエンブラエルの代表機種は、E170(座席数78席)、E175(同86席)など4タイプを揃えるE-Jetシリーズだ。

ボーイング、エアバスへの集約の歴史
ピストンエンジン四発旅客機による長距離国際線が確立された1940年代末期の時点で、アメリカにはボーイング、コンベア、ロッキード、ダグラスの4社が旅客機メーカーとして存在していた。

しかしジェット旅客機ではヒット作を打ち出せなかったコンベアは、ジェネラル・ダイナミクスに買収された後、1976年にカナダ政府に売却され、現在のボンバルディア・エアロスペースの前身であるカナディアとして再出発。ジェット化時代に乗り遅れたロッキードはL-1011トライスターで巻き返しを図ったもののセールスが振るわず、1981年に旅客機事業からは撤退した。その後マーチン・マリエッタとの合併を経て、主に軍用機やミサイル、宇宙開発などを手がけるロッキード・マーチンとなっている。

ダグラス・エアクラフトはDC-8とDC-9の両ジェット旅客機で成功を収めたものの、DC-8の納入遅延による巨額の違約金の支払いと、ダグラス一族の密室経営などで財務状況が悪化。1967年に軍用機メーカーのマクドネル・エアクラフトと合併し、マクドネル・ダグラスとして再出発した。

ダグラス・エアクラフトが設計し、マクドネル・ダグラス初の旅客機として送り出されたDC-10は一定の成功をおさめ、また同社はF-15イーグル戦闘機などの軍用機でも好調なセールスを記録していた。しかしDC-10の後継機となるMD-11とMD-90の販売不振などから経営不振となったため、1996年にボーイングに吸収合併され、アメリカの旅客機メーカーはボーイング1社となった。

1951年にジェット旅客機「カラベル」を世に送り出したフランスのシュド・アビアシオンは、1970年にノールと合併してアエロスパシェルを創設。同社とドイツのメッサーシュミット・ベルコウ・ブローム(MBB) の出資に よりエアバスが創設された。その後アエロスパシェルとMBBはスペインのCASAと合併してEADSを結成。EADSは2014年1月にエアバス・グループへと社名を変更し、2017年1月には子会社のエアバスと合併して社名をエアバスへと再変更し、現在に至っている。


2.4大メーカー以外の旅客機も日本各地で活躍中
ボーイング、エアバス、ボンバルディア、エンブラエルの4社を称して「世界の旅客機4大メーカー」と呼ばれるが、航空機メーカーは他にも数多く存在する。その数は、トータルすると100社以上に。日本で見られるのはATRやサーブ製のプロペラ機などだ。

最新のジェット旅客機で海外へ渡るのもいいが、たまには国内のローカル路線を小型プロペラ機で旅してみるのも楽しい。地方に行くと、そこでしか飛んでいないレアな飛行機も体験できる。 おすすめのひとつが、天草エアラインとJALグループの日本エアコミューターが運航するATR42(座席数48席)という機種。天草エアラインは保有するわずか1機のATR42をやりくりし、天草空港(熊本県)を拠点に毎日10便を運航している。

青い親子イルカの塗装が人気で、乗客はオープンスポットからタラップを上がって乗りこむ前に機体をバックに記念撮影というのが定番だ。

九州や北海道では、スウェーデン製の小型プロペラ機サーブ340も見られる。日本エアコミューターと、同じくJALグループの北海道エアシステムが運航している。サーブ340は細身のボディが特徴で、キャビンのシートレイアウトは通路をはさんで左側に1席、右側に2席と変則的。計36席で運航されている。鋭角のノーズとピンと跳ね上がった尾翼を持つ独特のスタイルが外観の特徴である。JALグループが保有する旅客機ではもっとも小さな機材で、1200mの滑走路を有する空港ならどこでも運用が可能である。

また首都圏では、もっと小さなプロペラ機での旅を楽しめる。調布飛行場と伊豆諸島を結んでいる新中央航空のドルニエ228だ。ドイツのドルニエ社が開発・製造している。機種を見極めるには、先端がナイフのように尖った「TNT翼」に注目してみるといいだろう。

さらにカナダ、ロシアの系譜
カナダの国営企業として再出発を切ったカナディアは、アメリカのリアジェットからライセンスを購入してビジネスジェット事業に進出し、一定の成功を収めたが、1986年にカナダのボンバルディアグループに買収され、 民間企業のボンバルディア・エアロスペースとして再出発した。

同社はリージョナル旅客機のCRJで成功したほか、ボーイングの子会社であったデ・ハビラント・カナダを買収して、同社のDHC-8の製造権を獲得。 1996年からQシリーズに改名されたDHC-8も800機以上が製造されるベストセラー機となった。その後同社は100~150席クラスのCシリーズも開発しているが、Cシリーズは2018年7月にエアバスとの合弁事業となり、Qシリーズの事業も同年11月にカナダの航空機メーカーであるバイキング・エアの系列会社に売却している。

東西冷戦時代にジェット旅客機を製造していたロシアのツポレフ、イリューシン、ヤコブレフはソ連崩壊後に民営化され、ヤコブレフ設計局は2004年に、民営化後イルクーツク航空機工場からイルクートとなった同社の傘下に入った。

ツポレフ、イリューシン、イルクートは2006年にスホーイなどロシアの他の航空機メーカーと共にロシア国有の航空持株会社である統一航空機製造会社の子会社となった。ツポレフは双発ジェット旅客機Tu-204、イリューシンは双発ジェット旅客機のll-96の生産を少数ながらそれぞれ継続しているほか、イルクートとヤコブレフ、ツポレフは150~212席クラスの双発旅客機MS-21の開発も進めている。


3.世界のメーカー売上高ランキング
1位 ボーイング 93400百万ドル
2位 エアバス 72300
3位 ロッキードマーティン 51000
4位 ユナイテッドテクノロジーズ 30900
5位 ゼネラルエレクトリック 27400
6位 ノースロップグラマン 25800
7位 レイセオン 25300
8位 サフラン 17900
9位 BAEシステムズ 13400
10位 ロールスロイス 12700
11位 レオナルド 12500
12位 ハネウェル 11600
13位 テキストロン 9840
14位 L3テクノロジーズ 9580
15位 ゼネラルダイナミクス 8130
16位 ボンバルディア 7690
17位 プレシジョンキャストパーツ 7160
18位 スピリットエアロシステムズ 6980
19位 ユナイテッドエアクラフトコーポレーション 6870
20位 ロックウェルコリンズ 6820

ボーイング、エアバスが抜きん出た存在であることは一目瞭然。しかし、これは各社の収益金体の数字だから、旅客機メーカーとしての順位とは異なる。

軍用機や宇宙あるいは部品製造など、企業活動としての総合成績の順位だ。それでもボーイング、エアバスの体質が強面であることの証にはなるはずだ。 一方で、上位に食い込んだ有力サプライヤーたちのビジネスが相当な規模であることにも驚かされる。いわゆる下請け的なイメージで捉えると、彼らの存在感と影響力を見誤ることになるだろう。

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