目次

機内客室で快適に過ごせるのは与圧システムのおかげ

1.機内を与圧するメカニズム
キャビンの空調システムと聞くと、エアコンを思い浮かべるかも知れませんが、航空機の場合与庄という機能もこれに含まれます。

高々度を飛ぶ機内であっても地上と近い環境(気圧)を維持するシステムで、乗員・乗客の身体を守るために不可欠な装備です。 ただし、機体内外の圧力差により胴体に大きな力がかかるため、その構造には相応の強度を持たせる必要があるのです。

高圧・高温の空気をエンジンから抽気し機内へ
航空機で地上の乗り物と最も違う点は、「与圧系統」の存在です。地上で生活している限りは圧力の存在を感じることはあまりありません。ところが飛行機に乗ると国内線でも3万フィート以上の高度を飛行することが日常茶飯事なので、与圧系統がないと高山病になってしまい身体が持ちません。

機体の胴体部分を与圧するには、エンジンから抽気された高圧・高温の空気(フリードエア)をエアコン装置で適切な温度まで冷却し、エアコンダクトを通じて客室と操縦室に送り込みます。客室の天井には空気の吹き出し装置が配列されており、そこから流れ出た空気は客室の側壁下部に配置されているグリルから床下に流れ、客室の前後に装備されているアウトフローバルブ(OFV)から機外へと放出されます。

機体構造と乗客にとって安全・快適な気圧を自動選択
万が一、与圧系統の不具合で与圧が過度になった場合(777では機体内外の圧力差が8.95psi以上になった場合)には、前方貨物室付近の外板に設置された「キャビン・プレッシャー・リリーフ・バルブ」が開き、機体内部の空気を外部に逃がすことにより、機体構造を保護する設計になっています。

与庄の制御には自動モードと手動モードが選択可能で通常は自動モードが選択されますが、自動機能に不異合が生じた場合は手動により運航乗務員が直接OFVの開度をコントロールすることも可能です。自動機能では機体内外の気圧差が8.6psiを超えず、かつ機内の気圧高度が8000フィートを超えないようにコントロールされています。さらに機内気圧の変化率をある値以下に制限することで、乗客の快適性を確保するような設計となっています。


この記事を見た人は、一緒にこんな記事も読んでいます!