目次

空港ターミナル間を運行する交通機関の便利な空港と不便な空港

1.空港内を運行する交通機関の便利な空港と不便な空港
ターミナルが複数になるとそのターミナル間を結ぶ交通機関が必要となるが、その交通機関が整っているところとそうでないところの差は大きい

成田空港のターミナル1とターミナル2の間は京成グループの成田空港交通が無料バスを運行しているが、公道を走り、信号も多く、大きく迂回しているのでけっこう時間がかかる。

福岡空港の国内線ターミナルと国際線ターミナルの間は西日本鉄道の無料バスが結び、こちらは一般車の通れない空港敷地内を通り、信号もないが、きわめて安全運転で、一般道から専用道への出入口では門の開閉があり、やはりけっこうな時間がかかる。両空港ともできれば専用の乗り物が欲しいところだ。

しかし海外でも、パリのシャルルドゴール空港がターミナル間の移動をバスに頼っているほか、ロンドンのヒースロー空港でもターミナル間はバスで移動しなければならないケースが多い。ヒースロー空港はターミナル同士が離れているので空港内の移動とは思えないほど時間を要する。

福岡のように国内線ターミナルと国際線ターミナルが離れている例はけっこう多く、オークランド、マニラ(フィリピン航空以外の国内線ターミナルが離れている)、デリー、モスクワ、またオーストラリアに多く、シドニー、ブリスベン、ケアンズが離れていて、ケアンズなど比較的全体の発着便が少ない空港でも別の場所にターミナルがある。

2. いっぽうターミナル間の交通機関として、新交通システムやモノレールなどが完備している空港もある。台北、シンガポール、フランクフルト、ロンドン・ガトウィックなどの空港、また複数のターミナル同士が離れていることが多いアメリカに多く、ニューヨーク・ジョンFケネディ、ニューアーク、シカゴ、ダラス、ヒューストン、ラスベガスなどの空港内で運行されている。

中でも優れているのは、シンガポール、台北、フランクフルトで、2種の交通システムを持つわけではないのに、空港の外(誰でも利用できる)と保税エリア内(乗り継ぎ客でその国に入国していない乗客)の双方が利用できるように工夫されている。

シンガポールではゴムタイヤ駆動の車両が複線の軌道上を運行?と思いきや単線が2本並んでいて、1本は空港の外側、1本は保税エリア内に乗り場を設けている。かたや台北やフランクフルトでは、2両連結の車両で、車両によってホームに仕切りがあり、いっぽうの車両は空港の外から、もういっぽうの車両は保税エリア内から利用できるように通路が工夫されている。

しかしアメリカでは、こういった工夫は必要ない。それはアメリカでは、シンガポールやフランクフルトのように、「通過客」という概念がないためだ。アメリカに到着した乗客は、単に乗り継ぎだけであっても全員がいったんアメリカへの入国手続きを行わなければならない

そのためアメリカに到着した旅客が、保税エリア内でターミナルを移動するといったことがない。つまりシンガポールやフランクフルトのように、旅客を「一般客」と「保税エリア内の旅客」と分けるといった概念がないからだ。アメリカでは到着したら、全員がまず入国する。入国してからしかターミナル間の移動はできない。これら交通システムにはアメリカらしさもある。ターミナル間を結ぶだけでなく、カーパークに直通していることが多く、車社会アメリカを感じる。

アメリカの空港では、短期間(何時間単位)の駐車場と長期間(何日単位)の駐車場は別にあり、後者はターミナルから離れた場所にあるからだ。このほか空港内の乗り物としては、保税エリア内のみを行き来するものもあり、ターミナルが広いためにこういった乗り物が使われている。

成田のターミナル2、クアラルンプール・セパン空港のように、別のターミナル建築物へ移動するためのものもあれば、関西や香港・チェクラプコク空港のように、単に建築物が広く、徒歩でも行けるのだが、交通機関もあるというケースもある。交通機関を用意するほどではないが、空港内が広くてお年寄りなどは移動が大変というとところでは、乗客を電気自動車でゲートまで輸送する空港も増えている。


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