「どうも食欲がわかないと思ったら、日本じゃもう夜中の3時だよね」
ヨーロッパ取材に同行していた日本人記者の一人がディナーの席で、腕時計を見ながらそんなことをつぶやきました。海外へ行くと、よく「日本はいま○時」と常に現地時間を日本時間に換算している人がいます。そういう人に限って、ジェットラゲ(時差ボケ)がおさまらない。
海外へ出たら日本は忘れ、現地を楽しみ尽くすべし。
機内に入った瞬間から時計を現地時間に海外へ出る際の必須アイテムの一つが、ずっと愛用しているカシオの世界時計機能付きのGショック。時計を操作し「ホームタウン」に渡航先の都市を選んでボタンを押すと、針が自動的に現地時間にセットされます。成田空港で搭乗ゲートをくぐり、機内に入った瞬間から、現地時間に合わせることを習慣としてきました。
たとえばドイツに出張するのなら、時計はベルリン時間に。ドイツと日本の時差はマイナス8時間。成田の出発が朝1時だとすると、ドイツはまだ夜中の3時ですので、機内でもう少し寝ておこうと仮眠をとります。その代わり、現地時間の夕方5時頃に滞在先のホテルにチェックインすると、日本時間ではすでに深夜ですがどんなに眠くても現地の夜が来るまで頑張って起きている。
そうして初日を乗り切ってしまえば、時差ボケもほぼクリア。現地での取材中に眠気に襲われることなどまずありません。そんなときに、同行者から「日本はまだ夜中だね」などと言われては調子が狂ってしまうので、勘弁してほしいなといつも思います。帰りのフライトではその反対に、現地の空港で時計を日本時間に戻して、戦闘モード。帰国後、すぐに通常の行動に移れるようにするためです。
2.エミレーツ航空とシンガポール航空の試み
オーストラリアやグアムなど日本から真南に向かう旅なら問題ないのですが、経度をいくつもまたいで地球を真横に移動するようなフライトだと、どうしても「時差ボケ」に悩まされる人が少なくありません。ようやく身体が時差に慣れてきたと思ったら、旅行が終わってしまった。
みなさんはそんな経験はありませんか?
そうした時差ボケ解消のためにユニークな試みを始めたのが、エミレーツ航空でした。関西や名古屋とドバイとをノンストップ便で結ぶエミレーツ航空。その機内に足を踏み入れると、特注のパネルと照明設備により、キャビンの天丼に満天の星が浮かび上がります。星のきらめくその夜空は、到着地が近づくにつれて徐々に明るさを増し、やがて明け方の時間帯の日が射し込んだような照明に。そして機内には鳥のさえずりが聞こえ始めます。
このサービスは、
乗客の体内時計を到着時間に合わせることで、時差ボケを最小限にとどめようという業界初の試みです。日本より5時間遅れている時差を実際にどこまで解消できるか? 効果は人によって違うでしょうが、何よりも発想が大胆でユニークですね。こうしたムード照明は、シンガポール航空が2007年10月にシンガポールーシドニー線で就航したオール2階建て巨人機、エアバスA380にも取り入れられました。
搭乗したときはとても明るく照らされていた機内が、タキシング(走行)が始まると紫色に変わり、しばらくすると今度は優しいピンク色に染まってナイスなムードを演出。実際の利用者たちからは「キャビンに身を置いていると、とても穏やかな安心感に包まれるといった感想が届いています。
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