飛行中の速度を測定して、パイロットに教えてくれる航空計器が速度計だ。飛行機の速度には大気に対する速度(対気速度)と、地表に対する速度(対地速度)がある。その他に、対気速度と音速との比を示すマッハ数を示すマッハ計も、機体速度を表わすために使われている。
対気速度を指示する計器には、指示対気速度計(IASインジケーター)と真対気速度計(TASインジケーター)がある。
マッハ数はマッハ計で示される。対地速度の測定には以前はドップラー・レーダーが使われたが、現代の旅客機では慣性航法装置(INS)や慣性基準装置(IRS)の搭載によって、きわめて正確な対地速度が得られるようになっている。そこで一般に速度計というと対気速度計を意味していると考えていい。
飛行機は飛行中に対気速度の二乗に比例した圧力(動圧という)と、静圧(外気圧)の和を受けるので、ピトー・静圧管を使って動圧を検出することによって、対気速度を求めることができる。ピトー管というのは機首部に取り付けられたピストルのような形の検知装置だ。
このピトー管が検出した動圧と静圧の和(全圧という)と、静圧孔で検出した静圧は計器内のダイヤフラムヘ導かれる。このダイヤフラムは動圧(全圧と静圧の差)の変化を表わすので、これを速度情報として機械的に針で示すことによって対気速度を指示する。
これが指示対気速度計の原理だ。
指示対気速度計では、大気の密度や圧縮性、ピトー・静圧管の取り付け位置などで誤差を生じる。そこで真対気速度(航法上重要なデータ)を得るためには、誤差の補正が必要になる。ここでコンピュータが活躍する。真対気速度は、マッハ数とその場所の音速の積として求められるから、コンピュータでこれを計算し計器上に指示する。
これを指示するのが真対気速度計だ。マッハ数は音速と機体速度の比を表わす数値だが、動圧と静圧の関数として表すことができる。そこでピトー・静圧管から得た動圧と静圧によってマッハ数を算出し、表示する計器がマッハ計である。
かつては機械式だったが、現代の旅客機ではエアデータ・コンピュータでマッハ数を計算し、電気信号をマッハ計に送って、正確なマッハ数をデジタル表示している。このマッハ計は対気速度計に組み込まれていることが多く(マッハ・エアスピード・インジケーター)、単純にその数値をデジタルで表示するだけのものだ。
飛行中の高度を指示して、パイロットに教えてくれる航空計器が高度計だ。高度計には、気圧高度を示す気圧高度計と、絶対高度を示す電波高度計がある。高度の測定には、気圧を用いる方法と電波による方法とがあるのだ。
海面からの高度を表示する方法と、地表からの高度を表示する方法があると考えてもいい。一般的に気圧高度計は高々度飛行の時、電波高度計は低高度飛行の時に使用される。気圧高度計は、高度が高くなるにしたがって気圧が低くなるという関係を使って、高度を知る計器だ。気圧は海面で約一気圧で、上空に行くにともなって低くなる。
機体の外気圧(静圧)を高度計内のアネロイド・ダイヤフラムに導いて、そのダイヤフラムの伸縮を指針の動きに変えて目盛りを読む方式。静圧は、機体側面の静圧孔(スタティック・ポート)と呼ばれる小さな穴で感知する。現在のジェット旅客機では、静圧孔をピトー管に組み込んだピトー・静圧管(ピトー・スタティック・チューブ)が使われる。
ただし計器の目盛りは、標準大気における高度を示すようになっている。飛行中は測定場所と測定時間によって気圧や気温が変化するので、指示高度に誤差を生じることになる。
そこで、地上からその時の海面上の気圧を連絡してもらい、標準大気との差による高度誤差を補正するようになっている。補正機構は高度計自体に設けられている。現代の大型
旅客機では、エアデータ・コンピュータによってその誤差を補正して、指示高度の精度を向上させている。
この補正を加えた高度のことを真高度ともいう。電波高度計では、測定に電波を使う。機体から高い周波数の電波を地上に向かって発射して、地表で反射した反射波が戻ってくるまでの時間を測って距離(高度)を算出するのだ。
気圧高度計とは違って、機体と地表との間の垂直距離をダイレクトに測定し、絶対高度を示すことになるので、絶対高度計とも呼ばれているCパルス方式(高々度用)とFM方式(低高度用)があり、FM方式は高度2500フィート以下で特に正確な絶対高度を示す。
地表近くでの誤差は1.5パーセント程度という。
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